フラク活動(読み)フラクかつどう

改訂新版 世界大百科事典 「フラク活動」の意味・わかりやすい解説

フラク活動 (フラクかつどう)

フラクションfraction活動の略。政党が労働組合などの大衆団体の中にフラクションと呼ばれる党員の小グループを組織し,フラクションの組織的活動によって,大衆団体の活動方向を政党の政策や方針に合致させようとする活動。主として日本共産党の活動についていわれる。日本で論議の対象となった例としては,産別会議内における日本共産党のフラク活動がよく知られている。1947年の二・一スト中止後,それまでの闘争における産別会議指導部のあり方に批判が集まるようになった。すなわち,闘争指導が一般組合員の感情と遊離しストライキ偏重の傾向をもち,共産党の指導にまったく服して労働組合の自主性が失われており,これは共産党のフラク活動のためであるとするのが,批判の要点であった。この批判を産別会議の内から最も強力に主張したのは事務局次長の細谷松太であったが,これに徳田球一を中心とする共産党指導部は強く反発してフラク活動の正当性を強調し,裏切的行為のゆえをもって細谷を共産党から除名した。その後,細谷を中心に各組合の有志を糾合して産別民主化同盟が結成されるが,そのおもな主張の一つは,共産党のフラク活動の排除であった。大衆団体内における政党活動のあり方については,一方の極における大衆団体の自主性と他方の極における構成員の〈政党支持の自由〉の間にあって,今日でもさまざまな議論がある。
民同運動
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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