フーチエン(福建)省(読み)フーチエン(英語表記)Fujian

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フーチエン(福建)省」の意味・わかりやすい解説

フーチエン(福建)〔省〕
フーチエン
Fujian

略称はミン (閩) 。中国,華東地方南部,タイワン (台湾) 海峡にのぞむ1級行政区。6特別市と3地区に分れ,8市,56県から成る。行政中心地はフーチョウ (福州) 特別市。宋で福建路がおかれたのが省名の由来で,明代に現在の省域となった。トンナン (東南) 丘陵の東部にある。標高 1000~1500mの北東から南西方向に並行する山脈と,ゆるやかな丘陵から成る。平地は山間の盆地谷底,海岸の小三角州で,省域の 10%にすぎない。海岸はリアス式で,沿岸に 1000以上の小島がある。ミン江は省の2分の1を流域とし,下流にフーチョウ市が立地。チャンチョウ (漳州) 市とシヤメン (厦門) 市 (アモイ) はチウロン (九竜) 江の下流に,チュワンチョウ (泉州) 市はチン (晋) 江の下流に発達。1月の平均気温は5~13℃,7月は 27~29℃。年降水量は沿岸で 1200mm,山間の南東斜面では 2000mmをこえる。食糧作物は水稲を主とし,サツマイモ,コムギが次ぐ。工芸作物はサトウキビ,タバコ,アブラナ,ナンキンマメが主。茶の主産地の一つで,ウーイーイエン (武夷岩) 茶,ティエコワンイン (鉄観音) 茶などの銘茶やジャスミン茶を産する。果樹ではリュウガン,柑橘類,レイシ,パイナップルの栽培が多い。山地にはマツ類,スギ類,クスノキモウソウチクなどが生育し,用材を産するほか,たけのこ,キノコ類,松やに,薬草類の産出が多い。人民共和国成立後,2000以上の小型発電所が建設され,農村工業の発展や灌漑・排水施設の電化に役立っている。沿岸は好漁場で,天日製塩,ノリの養殖も盛ん。地下資源は石炭,鉄,モリブデンマンガン,石墨,ボーキサイトみょうばんなどがある。工業は製鉄,アルミニウム精錬,化学,紡織,製紙,製糖,製茶,木材加工などが比較的発達。内陸のサンミン (三明) 市は中型鉄鋼コンビナートを中心とする新興工業都市。インシヤ (鷹厦) 鉄道とワイフー (外福) 鉄道が通じ,水運も重要である。住民は漢族がほとんどで,ほかにシェー族,ホイ族など約 30の少数民族から成る。面積 12万 3100km2。人口 3004万 8224 (1990) 。

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