フーペイ(湖北)省(読み)フーペイ(英語表記)Hubei

翻訳|Hubei

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フーペイ(湖北)省」の意味・わかりやすい解説

フーペイ(湖北)〔省〕
フーペイ
Hubei

略称はオー (鄂) 。中国,華中地方,チャン (長) 江中流の北岸にある1級行政区。8特別市と6地区,1自治州,1林区に分れ,20市,48県,2自治県が含まれる。行政中心地はウーハン (武漢) 特別市。略称は隋以後,ウーチャン (武昌) が鄂州の治所であったことによる。清で湖広省をフーペイ省とフーナン (湖南) 省に分け,トンティン (洞庭) 湖の北にあることから名づけられた。中部から南部はリヤンフー (両湖) 平原の北部をなすチヤンハン (江漢) 平原で,西,北,東の3方を山地に囲まれ,南に向って開かれた盆地状をなしている。ハン (漢) 水が貫流し,南部を流れるチャン江に注いでいる。一般に標高 50m以下で,大小湖沼が散在し,網目状に水路が通る。気候は四季の別が明瞭である。月平均気温は1月で2~4℃,7月で 27~29℃であるが,盆地にあるため,夏季の最高気温が 40℃以上に達する。年降水量は北西部で 800mm,南東部では 1500mmで,初夏に多く,秋から冬にかけて乾燥する。古くから水稲コムギワタ,カラムシなどの栽培が盛んであり,「湖広 (リヤンフー平原) 熟すれば天下足る」といわれてきた。しかしチャン江ははなはだしく曲流しており,本流支流,湖沼がしばしば氾濫した。人民共和国成立後,チン (荊) 江遊水池などが造成され,河道の修整,堤防の修築が進んだ。またタンチヤンコウ (丹江口) ,コーチョウパー (葛洲 壩) などの大型ダムが建設された。地下資源はホワンシー (黄石) 市ターイエ (大冶) の鉄鉱山が大規模で,ターイエとヤンシン (陽新) 県の銅も産出が多い。工業はウーハン市に鉄鋼コンビナートがあるほか,機械,化学,綿紡織,食品などの工業が各地に興っている。交通は水運が大きな役割を果し,ウーハン市をはじめシャーシー (沙市) 市,イーチャン (宜昌) 市,シヤンファン (襄樊) 市などは河港を中心に発達してきた。東部をチンコワン (京広) 鉄道,西部をチヤオチー (焦枝) 鉄道,シヤンユイ (襄渝) 鉄道が通る。面積 18万 7500km2。人口 5397万 149 (1990) 。

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