ブチルアルコール(英語表記)butyl alcohol

精選版 日本国語大辞典 「ブチルアルコール」の意味・読み・例文・類語

ブチル‐アルコール

〘名〙 (butyl alcohol) 化学式 C4H9OH で表わされるアルコール総称ブタノール

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デジタル大辞泉 「ブチルアルコール」の意味・読み・例文・類語

ブチル‐アルコール(butyl alcohol)

ブタノール

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改訂新版 世界大百科事典 「ブチルアルコール」の意味・わかりやすい解説

ブチルアルコール
butyl alcohol

炭素数4個の脂肪族飽和アルコール(一般式C4H10OH)で,ブタノールbutanolともいう。以下に記す4種の異性体がある。

IUPAC名は1-ブタノール。化学式CH3(CH23OH。特異臭のある無色液体融点-89.53℃,沸点117.25℃。糖みつの発酵によってもつくられたが,現在はおもに石油化学法による。アセトアルデヒドCH3CHOのアルドール縮合によりクロトンアルデヒドCH3CH=CHCHOを生成し,これを水素化還元する方法,プロピレンCH3CH=CH2を,触媒を用いて一酸化炭素および水素あるいは水と反応させるオキソ法,あるいはレッペ反応により工業的に生産される。4異性体のうち最も用途が多く,そのまま,あるいはエステルとして,溶剤可塑剤などに利用される。

IUPAC名は2-メチル-1-プロパノール。化学式(CH32CHCH2OH。フーゼル油中に含まれる。融点-108℃,沸点108℃。オキソ法,レッペ反応によるn-ブチルアルコールあるいはメチルアルコール製造の際の副生物として得られる。果実エッセンス,香料製造の原料となる。

第二ブチルアルコールともいう。IUPAC名は2-ブタノール。化学式CH3CH2CH(CH3)OH。融点-114.7℃,沸点98.5℃。強い香りを有する液体。2種の光学活性体があるが,工業的に生産されるものは混合物(ラセミ体)であり,石油分解ガス中に含まれるα-ブチレン(1-ブテン)CH3CH2CH=CH2硫酸に吸収させてブチル硫酸とし,これを加水分解して得る。酢酸ブチルの原料,溶剤・可塑剤原料となる。

第三ブチルアルコールともいう。IUPAC名は2-メチル-2-プロパノール。化学式(CH33COH。ブチルアルコールのうち常温で固体である唯一のもので,融点25.6℃,沸点82.50℃。石油分解ガス中に含まれるイソブチレン(2-メチルプロペン)(CH32C=CH2の間接水和により工業生産される。他の異性体に比べてきわめて脱水されやすく,イソブチレンとなるため,エステルを生成しにくい。tert-ブチル化剤として用いられる。
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化学辞典 第2版 「ブチルアルコール」の解説

ブチルアルコール
ブチルアルコール
butyl alcohol

C4H10O(74.12).ブタノールともいう.脂肪族飽和アルコール類の一つ.炭素数4の脂肪族飽和アルコールには4種類の異性体が存在し,これらの総称として用いられる.【n-ブチルアルコール:CH3(CH2)2CH2OH.体系名は1-ブタノール.直鎖状で,末端炭素にヒドロキシ基をもつ.フーゼル油中に存在する.製法は,実験室的には,エタノールから酸化マグネシウム触媒により合成できる.工業的には,発酵法から石油化学法へと転換されており,後者にはプロペンを原料とするオキソ法(オキソ合成)とアセトアルデヒドを二量化する方法とがある.独特な臭いをもつ無色の液体.融点-89.3 ℃,沸点117.73 ℃.0.8058.1.3973.爆発範囲1.4~11.2体積%.各種有機溶剤に可溶,水に微溶.そのまま,または酢酸エステルとして溶剤に,フタル酸エステルとして可塑剤に,またオクチルアルコールの合成原料などに用いられる.[CAS 71-36-3]【sec-ブチルアルコール:CH3CH(OH)CH2CH3.体系名は2-ブタノール.工業的製法には,直鎖状ブテン類の硫酸吸収加水分解法がある.強い快香を有する無色の液体.融点-114.7 ℃,沸点99.50 ℃.0.8023.1.3949.エタノール,エーテルに易溶,水に微溶.光学異性体がある.おもな用途はエチルメチルケトンの合成原料で,ほかに溶剤および可塑剤合成原料となる.[CAS 78-92-2]【tert-ブチルアルコール:(CH3)3C(OH).体系名は2-メチル-2-プロパノール.工業的製法には,イソブテンの硫酸吸収加水分解法がある.斜方柱状あるいは板状晶をつくり,ショウノウ臭をもつ白色の固体.融点25.66 ℃,沸点82.57 ℃.0.7808.1.3854.水,エタノール,エーテルに易溶.水と共沸混合物をつくる.炭素数4のアルコール中,反応性はもっとも高い.tert-ブチル化剤として使われるが,工業的な用途は少ない.[CAS 75-65-0][別用語参照]イソブチルアルコール

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百科事典マイペディア 「ブチルアルコール」の意味・わかりやすい解説

ブチルアルコール

化学式はC4H9OH。ブタノールとも。4種の異性体がある。n‐ブチルアルコールCH3(CH23OHは特異臭のある無色の液体で,融点−89.53℃,沸点117.25℃。酸とエステルをつくり,脱水すると各種ブチレンの混合物が得られる。溶剤,可塑剤原料として用いられる。プロピレンを一酸化炭素および水素と反応させるかアセトアルデヒドの縮合で得られるクロトンアルデヒドの還元によりつくられる。イソブチルアルコール(CH32CHCH2OHは融点−108℃,沸点108℃。フーゼル油に含まれる。第二ブチルアルコールCH3CH2CH(OH)CH3は融点−114.7℃,沸点98.5℃。d‐,l-2種の光学活性体とそのラセミ体がある。第三ブチルアルコール(CH33COHは融点25.6℃,沸点82.5℃。いずれも溶剤,可塑剤や果実エッセンスなどの原料として用いられる。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ブチルアルコール」の意味・わかりやすい解説

ブチルアルコール
butyl alcohol

ブタノールともいう。化学式 C4H10O 。次の4種の異性体がある。 (1) ノルマルブチルアルコール 無色の液体。沸点 117~118℃。デンプン,グリセリン,またはマンニットの発酵で生成される。 (2) 第二ブチルアルコール 無色の液体。沸点 99.5℃。 (3) イソブチルアルコール 無色の液体。沸点 107.9℃。 (4) 第三ブチルアルコール 無色の結晶。融点 25.55℃,沸点 82.5℃。いずれも,溶媒,エステル化の試薬などに用いられる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブチルアルコール」の意味・わかりやすい解説

ブチルアルコール
ぶちるあるこーる

ブタノール

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栄養・生化学辞典 「ブチルアルコール」の解説

ブチルアルコール

 →ブタノール

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