日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ブルックナー(Karl Bruckner)
ぶるっくなー
Karl Bruckner
(1906―1982)
オーストリアの児童文学作家。28歳でブラジルに渡るが、2年後に帰国。メキシコ革命に材をとった『メキシコの嵐(あらし)』(1949)、家出少年の物語『ナポリの浮浪児』(1955)、ツタンカーメン王の墓の発掘を描いた『黄金のファラオ』(1957)、広島への原爆投下を扱った『サダコは生きる』(1961)など、人道主義的な立場から戦争、貧困、暴力、無知など、子供の幸福を妨げる悪を、強く興味をかきたてる物語によって批判し続けた。ほかに、イタリアの家出少年を描いた『ジーノのあした』(1955)などがある。
[神宮輝夫]
『北条元一訳『メキシコの嵐』(1958・岩波書店)』▽『片岡啓治訳『サダコは生きる』(1964・学習研究社)』▽『塩谷太郎訳『ロボット・スパイ戦争』(1972・あかね書房)』▽『北条元一訳『黄金のファラオ』(1973・岩波書店)』▽『山口四郎訳『ジーノのあした』(1990・福武書店)』