ブレンステッド

デジタル大辞泉 「ブレンステッド」の意味・読み・例文・類語

ブレンステッド(Johannes Nicolaus Brønsted)

[1879~1947]デンマークの物理化学者。1923年、酸・塩基陽子移動定義し、陽子を放出する物質を酸、受け取る物質を塩基とした。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブレンステッド」の意味・わかりやすい解説

ブレンステッド
ぶれんすてっど
Johannes Nicolaus Brønsted
(1879―1947)

デンマークの化学者。デンマーク工業大学、コペンハーゲン大学教授歴任。1923年、酸塩基の定義について、それまでのアレニウス理論を拡張した新しい酸塩基理論を出した。同じ理論を同時に独立イギリスローリーThomas M. Lowry(1874―1936)も出しているのでブレンステッド‐ローリー理論といわれる。これは、プロトンを放出するものを酸、受け入れるものを塩基とみるのであり、アレニウスの定義より広いが、電子授受で酸塩基を定義するリューイス理論よりは狭い概念である。

荒川 泓]

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化学辞典 第2版 「ブレンステッド」の解説

ブレンステッド
ブレンステッド
Brφnsted, Johannes Nicolaus

デンマークの物理化学者.1897年高等技術カレッジ(現デンマーク工科大学)化学工業科に入学.2年後に卒業するとコペンハーゲン大学自然科学部に入学し,1902年に卒業.1905年同大学の化学実験助手,1908年学位を取得し,物理化学教授となる.当初,電池の起電力測定による化学的親和力の研究をし,その後,溶解度イオンの相互作用などを研究した.1923年にブレンステッドの酸塩基理論を提出し,溶液内化学反応速度に活量係数を導入したブレンステッド-ビエラムの式を導いた.この式はデバイ-ヒュッケルの理論から求めた活量係数を用いて,多くの液相イオン反応塩効果が定量的に成り立つことを示した.ほかに触媒同位体分離の研究もある.第二次世界大戦中は反ナチスを貫き,戦後1947年に国会議員に選出されたが,病気のため就任はしなかった.

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ブレンステッド」の意味・わかりやすい解説

ブレンステッド
Brønsted, Johannes Nicolaus

[生]1879.2.22. バルデ
[没]1947.12.17. コペンハーゲン
デンマークの物理化学者。コペンハーゲン大学で学び,1908年学位を取得して,同大学に新設された化学の教授となり,終生その地位にあった。 23年,T.M.ローリーとは独立に新しい酸塩基に関する定義を提唱した (→ブレンステッド=ローリーの定義 ) 。触媒の研究,熱力学の研究でも著名。第2次世界大戦中反ナチスの姿勢をくずさず,47年には国会議員に選出されたが,病に倒れた。

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