プラスチック焼却(読み)ぷらすちっくしょうきゃく

知恵蔵 「プラスチック焼却」の解説

プラスチック焼却

家庭のプラスチックごみを埋め立ててきた東京都23区(850万人)が焼却への転換を決め、プラスチックごみの処理が全国で話題に。プラスチックごみは埋めると、かさばり、分解せず、付着した食品ごみが温室効果ガス(メタン)を発生させる。このため東京都は2004年、「焼却不適物」から「埋め立て不適物」に変更、処分場への持ち込みをやめることに。これを受け、23区は08年度から焼却に転換することを決めた。しかし、全国の半分の自治体ではプラスチックごみの大半を占める容器包装プラスチックを分別リサイクルしており、23区の立ち遅れが目立つ。「焼却はごみ減量につながらない」との区民要求もあり、杉並区中野区など10区は、容器包装プラスチックの分別、リサイクルを行い、それ以外の残ったプラスチックごみを焼却処理することを決めた。他の区は「分別、保管する中間処理施設が確保できない」(世田谷区)ことなどを理由に、全面焼却を選択。県庁所在地の市と政令指定都市計50市のうち燃やしている市が全体の約7割の33市。02年にダイオキシン規制が強化され、不完全燃焼によるダイオキシンの発生を防ぐために高温焼却が義務付けられ、自治体が焼却炉改造新設をして問題がなくなった。環境省も05年5月、廃棄物処理法基本方針でプラスチックごみは焼却施設で発電などで熱回収することが適当とし、全国の自治体に通知を出している。

(杉本裕明 朝日新聞記者 / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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