プルート川(読み)ぷるーとがわ(英語表記)Прут/Prut

改訂新版 世界大百科事典 「プルート川」の意味・わかりやすい解説

プルート[川]
Reka Prut

ウクライナにはじまり,モルドバルーマニア国境を流れ,ドナウ川の最下流部にその左岸(北岸)から合流する川。古くから知られた川で,古名をピュレトゥスPyretus川という。長さ967km,流域面積2万7500km2,下流の平均流量は80m3/s。はじめカルパチ山脈中央部の高峰ゴベルラ峰(2061m)の東斜面から流れおち,東流してチェルノフツィで広い盆地に出,その下流でモルドバとルーマニアの国境となり,ヤシ(ルーマニア)東郊を過ぎ,さかんに曲流して南に流れ,ドナウ川に注ぐ。1月から3月初旬まで結氷するが,氷は厚くなく,真冬でも異常に高温となる日が数日つづくと(この地方ではまれでない),一時的に融ける。ドナウ川との合流点から180km上流のモルドバのレオーボまで汽船が遡航する。中・下流の低地・丘陵は穀作地,リンゴ園,スモモ園,ブドウ園となり,美観を示す。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「プルート川」の意味・わかりやすい解説

プルート川
ぷるーとがわ
Прут/Prut

ルーマニアとモルドバ共和国の国境を流れる川で、ドナウ川の支流。カルパティア山脈中のピエトロス山(2305メートル)付近に発し、ウクライナ領内の山脈中に横谷をつくって北上し、山中を出てからは東流し、ルーマニアのダラバニ付近からモルドバ共和国とルーマニアの国境を南下し、ルーマニアのガラチ付近でドナウ川に注ぐ。全長約950キロメートル、流域面積2万7500平方キロメートル。流域のモルダビア台地の気候は大陸性で、モルドバ共和国の首都キシニョフの1月の平均気温は零下6℃に低下し、プルート川は冬季に凍結する。

[三井嘉都夫]

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