プロポリス

デジタル大辞泉 「プロポリス」の意味・読み・例文・類語

プロポリス(propolis)

ミツバチが採集してきた木の樹脂ハチ唾液だえきを混ぜ合わせてできた物質。巣の各所に塗って外敵から巣を守る。古くから民間薬として世界各地で用いられてきた。

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精選版 日本国語大辞典 「プロポリス」の意味・読み・例文・類語

プロポリス

〘名〙 (propolis) ミツバチが採集してきた樹脂にハチが唾液をまぜ合わせてできた物質。巣の各所に塗って外敵から巣を守る。古くから民間薬として世界各地で利用。

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食の医学館 「プロポリス」の解説

プロポリス

プロポリスはミツバチの巣から取り出される粘着性の物質で、「蜂(はち)ヤニ」とも呼ばれています。集めてきた樹液にミツバチが唾液(だえき)の酵素を混ぜ、さらに花粉や蜜蝋(みつろう)を加えてつくられるもので、巣の入り口や内面に塗られ、昆虫死骸(しがい)腐敗防止や、病気の感染から巣をまもる役目をはたしています。
 プロポリスの成分は樹脂が約5割、蜜蝋が3割と大半を占め、精油・花粉が2割弱です。これ以外に有機酸、脂肪酸、アミノ酸、ビタミン、ミネラル、フラボノイドアルコールなど数百種類の成分が含まれることが判明しています。
〈プロポリスは天然の抗生物質〉
○栄養成分としての働き
 プロポリスには強い殺菌・消毒作用があり、傷を治し炎症をやわらげることは古くから知られていました。近年の研究で、これ以外にも血液浄化・酸化防止・免疫力増強・麻酔作用があり、関節炎、痔(じ)、やけど、アトピー性皮膚炎、ぜんそく、口内炎(こうないえん)のどの痛みに有効なことが判明しています。さらに抗生物質とは異なり、プロポリスに対しては細菌やウイルスが耐性をつくらないことがわかり、MRSA(メチシリン耐性黄色(たいせいおうしょく)ブドウ球菌(きゅうきん))による院内感染防止に期待が寄せられています。
 1991年の日本癌学会で、プロポリスから抗がん物質を発見したとの報告がなされ、制がん作用も注目を集めています。

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改訂新版 世界大百科事典 「プロポリス」の意味・わかりやすい解説

プロポリス
propolis

ミツバチの巣箱のすき間や内部の壁に付着している,ねばねばした黄緑色から暗茶褐色の樹脂様物質。やや老齢の働きバチによって,植物から集められたやにで,ハチやにbee glueともいう。プロポリスは,〈都市を守る〉というギリシア語に基づく。ミツバチは巣箱の裂け目やすき間をふさいだり,巣の修理や巣の内部に雨水が流入することを防ぐため,および殺菌力で巣内を衛生的に保つためにプロポリスを利用している。成分は大部分フラボン化合物からなるが,その他アルコール,アルデヒドスチルベンフェノール類なども検出されている。前300年ころから利用してきたとされ,東欧諸国では古来保存用として用いている。現在では防腐剤,抗菌剤,化粧品,バイオリンのワニスなどに利用されている。医療的には皮膚病,火傷,潰瘍に効果があり,さらには骨再生能や抗体産生能などを有するといわれるが,その作用機構は必ずしも明らかにされていない。
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百科事典マイペディア 「プロポリス」の意味・わかりやすい解説

プロポリス

ミツバチがユーカリやマツ,ポプラなどの樹木から採取した樹液と自身の唾液とを混ぜ合わせ,巣箱のすき間や内部の壁に塗り付けた樹脂様物質。黄緑色から暗茶褐色の柔らかな粘土状をしている。プロポリスは〈都市を守る〉というギリシア語に由来し,巣の修理や雨水の流入を防ぐ役目のほか,巣内に侵入した昆虫などの死体を包み込み,その殺菌力により巣内での腐敗を防止している。 古代ギリシア・ローマ時代から切り傷や皮膚炎の治療薬として使われ,東欧諸国でも早くから盛んに研究されていた。日本でも〈ハチやに〉としてその存在は知られていたが,プロポリス製品が初めて紹介されたのは1985年に名古屋で開かれた第30回国際養蜂会議の時とされている。その後,抗菌作用や抗ウイルス作用,抗炎作用等が注目されて,健康補助食品として各種の製品が作られるようになった。 一つの巣箱から取れるプロポリスのかたまりは年間100〜300gほどで,主にブラジルや中国などから輸入している。普通はアルコールに浸けて成分を抽出するが,乳化剤や水による抽出法もある。成分はフラボン化合物が主であるが,アルコールやアルデヒド,スチルベン,フェノール類なども含まれている。取り出したエキスを液状や粒状にしたり,ハチミツやあめに混ぜたり,歯磨きや入浴剤などにして利用している。

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