プロロケントルム(英語表記)Prorocentrum

改訂新版 世界大百科事典 「プロロケントルム」の意味・わかりやすい解説

プロロケントルム
Prorocentrum

2個の半球状または皿状の殻状部が左右に合わさってできた球形ないし楕円形の体の前端から,2本の鞭毛を出して泳ぐ単細胞性の渦鞭毛藻綱の1属。海洋で浮遊生活をする。2本の鞭毛のうちの1本は前方にのびるが,他の1本は細胞体を巻くか,または側方にのびる。体内には1~2個の褐色の色素体があり,核は比較的大きい。生殖には2分裂の無性生殖のみが知られ,内湾域などでしばしば大繁殖して赤潮を出現させる。細胞前端にとげ状突起をもつものをProrocentrum,もたないものをExuviaellaとして以前は区別したが,現在は両者を同一属に扱う学者が多い。全世界で90種以上の記載があるが,体制が単純なため種の分類は容易でない。日本の沿岸には約12種が知られ,代表的な種として,ツノフタヒゲムシP.micans Ehrenb.,P.minimum(Pavil.)Schiller,P.triestinum Schillerがある。大きさは種により少し異なり,小さいものは長さ10~20μm,大きいものは50~70μmとなる。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

今日のキーワード

黄砂

中国のゴビ砂漠などの砂がジェット気流に乗って日本へ飛来したとみられる黄色の砂。西日本に多く,九州西岸では年間 10日ぐらい,東岸では2日ぐらい降る。大陸砂漠の砂嵐の盛んな春に多いが,まれに冬にも起る。...

黄砂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android