ヘシカズム(英語表記)Hesychasm

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヘシカズム」の意味・わかりやすい解説

ヘシカズム
Hesychasm

東方キリスト教会 (正教会) における神秘的修道思想およびその実践絶え間ない祈りによって神を黙想し,それによって聖なる静寂 hēsychiaに達しようとした。その方法として身体をも整えることを重視し,不動のまま身体の中心を注視し各呼吸が祈りとなりイエスを思い起すよう修行した。 13世紀後半から体系化され,14世紀にアソス山修道院を通してビザンチン帝国で栄えたが,反対も強かった。同院の修道士でのちのテッサロニカ大主教グレゴリオス・パラマスはこの運動を擁護し,清められた人間の眼はかつてのタボル山でのイエスの変容のときの弟子たちと同じように神的光を見ることができるとした。これは正教会から承認され,運動は現在まで,特にロシア正教徒のなかに生残っている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android