ヘスティア(英語表記)Hestia

翻訳|Hestia

デジタル大辞泉 「ヘスティア」の意味・読み・例文・類語

ヘスティア(Hestia)

ギリシャ神話で、かまどや炉の女神クロノスレア長女で、ゼウスヘラポセイドンの姉。ローマ神話ウェスタにあたる。

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精選版 日本国語大辞典 「ヘスティア」の意味・読み・例文・類語

ヘスティア

(Hestia) ギリシア神話中の炉の女神。家庭守護神。クロノスとレアの子。ローマ神話ではウェスタと同一視された。

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改訂新版 世界大百科事典 「ヘスティア」の意味・わかりやすい解説

ヘスティア
Hestia

ギリシア神話の炉の女神。オリュンポスの十二神のひとり。クロノスとレアの長女として生まれた彼女は,ポセイドンとアポロンの2神に求婚されたが,弟にあたるゼウスにすがって永遠の処女を守る誓いをたてた。そこでゼウスは,結婚の喜びのかわりに,彼女がすべての人間の家でその中央に座を占め,犠牲の最良の部分を得ること,またすべての神殿で他の神々と栄誉をわかつことを定めたという。古代人の理解するところでは,ポリス(都市国家)は家の大きな集合にすぎなかったから,各家庭に炉があるように,ポリスもまた国家としての炉をもつ必要があった。このため多くのポリスではプリュタネイオン市庁)に国家の炉をもうけて彼女をまつり,植民市建設の際にも,この炉からとった火を植民者に与えて新市に伝えさせた。彼女の名は〈炉〉そのものの意で,ローマ人からは語源を同じくする彼らの女神ウェスタと同一視された。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヘスティア」の意味・わかりやすい解説

ヘスティア
へすてぃあ
Hestia

ギリシア神話のかまどの神。ローマ神話のウェスタと同一神で、クロノスとレアの長女。アポロンとポセイドンに求婚されたが、彼女はゼウスから永遠の処女を守る許しを得、さらにすべての家と神殿において崇拝される権利を授けられた。かまどが家庭生活の中心であるのと同様、ヘスティアは神々の住まいの中心的位置を占め、したがって他の神々が世界中を歩き回るのに対し、彼女はつねにオリンポスにとどまった。それゆえ、この女神には神話がない。彼女は人格神としてではなく、「かまど」という観念擬人化として宗教的に重要な役割を果たした。

[小川正広]

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百科事典マイペディア 「ヘスティア」の意味・わかりやすい解説

ヘスティア

ギリシア神話のを守り家政をつかさどる処女神。クロノスとレアの娘。各ポリスの市庁にも彼女にささげる聖なる火を燃やす炉があった。ローマの女神ウェスタVestaと同一視される。その神官団をウェスタリスVestalisといい,大きな権威を誇った。

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世界大百科事典(旧版)内のヘスティアの言及

【ウェスタ】より

…古代ローマのかまどの女神。ギリシア神話のヘスティアにあたる。彼女は各家庭で崇拝されると同時に,国家のかまどの女神としてローマ人の精神的支柱の一つであった。…

※「ヘスティア」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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