ベディエ(英語表記)Charles-Marie-Joseph Bédier

改訂新版 世界大百科事典 「ベディエ」の意味・わかりやすい解説

ベディエ
Charles-Marie-Joseph Bédier
生没年:1864-1938

フランス批評家,中世学者。コレージュ・ド・フランス教授(1903-36)。厳しい文献学をもととして現在の中世文学研究基礎を築いた。とくに武勲詩の研究で,民間伝承の集成されたものとして武勲詩をみる説に対して,巡礼の巡る聖地顕彰のために作られたものとする説をたてたことは名高い。また20世紀前半に盛んであった文学史研究を代表する一人でもある。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ベディエ」の意味・わかりやすい解説

ベディエ
べでぃえ
Joseph Bèdier
(1864―1938)

フランスの中世文学者、コレージュ・ド・フランス教授(1903~36)。ガストン・パリスBruno-Paulin-Gaston Paris(1839―1903)に学ぶ。『ファブリオー』(1893)においてこのジャンルのインド起源説を否定し、フランス固有のものであることを立証、同時に起源論の不毛性を指摘。『叙事詩伝説』四巻(1906~13)では、武勲詩の成立における口碑伝説を重視する伝承理論に対して、個性的な詩人の役割を重視する個人主義理論を提唱。さらに『トリスタン物語』の再建についても風土、個人の役割を重視して優れた業績を残し、その現代仏訳は人口に膾炙(かいしゃ)した。彼の理論はその没後、新伝承理論の台頭によって見直しを迫られた。

[神澤榮三]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ベディエ」の意味・わかりやすい解説

ベディエ
Bédier, (Charles-Marie-) Joseph

[生]1864.1.28. パリ
[没]1938. ドローム,ルグランセール
フランスの文学研究者,文献学者。コレージュ・ド・フランス教授。アカデミー・フランセーズ会員 (1920) 。武勲詩やファブリオーなど中世文学の研究に大きな功績を残した。『トリスタンとイズー』の校訂 (1900) ,『叙事伝説』 Les Légendes épiques (4巻,08~21) などがある。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android