ペロタ

デジタル大辞泉 「ペロタ」の意味・読み・例文・類語

ペロタ(pelota)

素手やグローブ・ラケットを使ってボールを壁に打ち合うスポーツ正面の壁にボールを打ち、跳ね返ってくるボールを相手がワンバウンド以内で打ち、これを交互に続ける。バスク地方中心スペインフランスなどで行われる。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「ペロタ」の意味・わかりやすい解説

ペロタ

バスク民族発祥の球戯の総称。ペロタはスペイン語で〈丸いもの〉〈ボール〉〈ボールゲーム〉を意味する。バスク語ではピロタpilota。スペイン語のペロpeloは髪の毛であり,それを丸めてボールにしたものがペロタ。羊や犬などの毛も使われたという。こんにち,バスク民族はスペインとフランスの国境となっているピレネー山脈の南北の山麓を中心に生活しており,この地域では,ペロタがいまも最も人気のあるボールゲームである。この地域に伝承されているペロタはスペインやフランスだけでなく,世界22ヵ国に普及している。今日行われているペロタは,テニスのように向かい合ってプレーする〈対面型〉と,スカッシュのように同一コート内で攻防を繰り広げる〈混成型〉の二つに分けることができる。また,コートは,教会前の広場(最大100m×20m),フロントンfronton(前壁に向かってボールを打ち合う),トリンケットtrinquete(四方壁の室内球戯場),教会の柱廊arkupeの4種類。さらに,ラケットに相当する用具は,素手mano,パラpala,パレタpaleta(2種類),グアンテguante,ホコ・ガルビィjoko garbi,レモンテremonte,セスタ・プンタcesta-punta(チステラchistera),シャーレxare,ラケットraquetaなどがある。これらの用具はボールを打突するものと,捕投する(捕球と投球とを一連の運動として静止することなく行う)ものとの2種類がある。打突する用具は素手,パラ,パレタ,ラケットで,あとは捕投する用具である。このようにペロタと呼ばれる球戯は多種多様である(諸外国でペロタの代名詞として使われるハイ・アライjai alaiは,〈混成型〉の一つ)。これは地域ごとに,あるいは村ごとに自分たちのペロタ球戯に固執してきたからで,近代化を拒否した民族スポーツの典型的な例といってよい。しかし,それだけにバスク民族のペロタに対するこだわりは尋常ではなく,そこに民族固有の誇りとアイデンティティを求める気持ちとが表出しているように思われる。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

改訂新版 世界大百科事典 「ペロタ」の意味・わかりやすい解説

ペロタ
pelota

壁面へボールを打ちつけ,そのはね返りを利用してボールをやりとりする競技。原型はイギリスのファイブズなどと共通するアイルランドの古いゲームだといわれている。17世紀以降のスペインでは,とくにバスク地方でこのゲームがペロタpelota(スペイン語でボールの意)という名称で盛んに行われ,19世紀はじめには,ナバラ地方などでも民衆的スポーツとなった。スペインの世界進出とともに,このゲームも中南米やアジア(フィリピンなど)へ紹介された。競技場はフロントンfrontónと呼ばれる。天井と観客席,貴賓席をもったフロントンが1887年サン・セバスティアンにはじめてつくられ,〈ハイ・アライjai alai〉(バスク語で楽しい祭りの意)と命名された。このとき以来,競技自体がハイアライと呼ばれるようになった。

 コートは,前方,片側,後方の3面を石(コンクリート)の壁で囲んである。ボールはゴムの芯を使ったよくはずむもので,一般的には手にセスタcestaというボールを捕る木とアシで作った一種の籠をはめる。ゲームはまず先攻者が壁にボールを投げ,相手競技者ははね返ってくるボールが床にツー・バウンドするまでにセスタで捕らえて投げ返さなければならない。こうして交互にセスタでボールを捕り合い,かつ投げ合う。うまく捕れなかったり,ツー・バウンド以上させてしまったときは失点となる。ボールの動きは早く,機敏な動作を要求される激しい競技である。観客は開いた一方の面に金網をはって,その外側から観戦する。メキシコ北部,キューバ,マニラなどではギャンブル・スポーツとして人気を集めている。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ペロタ」の意味・わかりやすい解説

ペロタ
pelota

素手や用具で,壁面にボールを打ち合うスポーツ。相手が壁に打ったボールをノーバウンドかワンバウンドで相互に打ち返す。打ち返せなかったときに相手の得点となる。使用する壁が1面のもの,前後・左右と多面のものなどある。スペイン,フランスなどで盛んで,1992年のバルセロナ・オリンピックで公開競技となった。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のペロタの言及

【皮∥革】より

…大平原のインディアンはバッファローの生皮を張った牛舟を使う。南アメリカにもペロタpelotaと呼ばれる牛舟がある。【鍵谷 明子】。…

※「ペロタ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android