ホウ(硼)砂(読み)ほうしゃ

改訂新版 世界大百科事典 「ホウ(硼)砂」の意味・わかりやすい解説

ホウ(硼)砂 (ほうしゃ)
borax

Na2B4O7・10H2Oの化学組成をもつホウ(硼)酸塩。結晶単斜晶系に属し,通常無色あるいは白色で,短柱状の外形を示す。{100}にへき開完全,ガラス光沢,断口は貝殻状。モース硬度2~2.5,比重1.7。天然には塊状あるいは皮膜状としても産する。最も普遍的なホウ酸塩鉱物で,塩湖の蒸発などにより乾燥地帯に産出する。トルコ,北アメリカのカリフォルニア,南アメリカのアンデスなどに有名な鉱床がある。種々のホウ酸塩鉱物から抽出されるホウ素は一般にホウ砂の形で商品化される。洗剤防腐剤,医薬用品,金属酸化物の溶剤などに広く用いられる。
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百科事典マイペディア 「ホウ(硼)砂」の意味・わかりやすい解説

ホウ(硼)砂【ほうしゃ】

ホウ素の鉱石鉱物組成はNa2B4O7・10H2O。結晶は板状または柱状。単斜晶系。透明〜不透明でガラス光沢があり,無色〜白色または灰色・青・緑などの淡色。乾燥空気中で表面が風解する。硬度2〜2.5,比重1.72。融点75℃,水に溶け,水溶液は強アルカリ性。結晶を200℃に熱すると無水塩(比重2.367)を生じ,741℃で融解して無色透明のガラス状となり,金属酸化物を溶かすのでホウ砂球試験に用いられる。ホウロウ琺瑯),陶磁器うわぐすりホウケイ酸ガラス原料,洗浄用などとして使用。乾燥地域の蒸発鉱床などに産する。ボラックスとも。

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