ホシガラス(英語表記)Nucifraga caryocatactes; spotted nutcracker

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ホシガラス」の意味・わかりやすい解説

ホシガラス
Nucifraga caryocatactes; spotted nutcracker

スズメ目カラス科全長 32~34cm。羽色暗褐色で,体の大部分白色の斑が密にある。は黒い。ヨーロッパからシベリア東部,東アジア北部にかけての地域と,ヒマラヤ南部山麓に分布する。日本では北海道本州四国地方九州地方の亜高山,高山に留鳥としてすむが,北海道などでは冬に低地へ移るものもある。おもに針葉樹林にすみ,木の上に巣をつくる。雑食性で,植物質,動物質のどちらも食べるが,マツ球果が重要な食べ物で,マツがない所ではほかの針葉樹の球果などを食べる。「ぎゃーぎゃー」としゃがれた声で鳴く。

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改訂新版 世界大百科事典 「ホシガラス」の意味・わかりやすい解説

ホシガラス (星鴉)
nutcracker
Nucifraga caryocatactes

スズメ目カラス科の鳥。全長約35cm。体は黒褐色で,顔,背中,下面には密な白色斑がある。この体の白い細かい斑紋からホシガラスの名がある。下尾筒と尾羽先端は白い。ユーラシア大陸の亜寒帯および亜高山帯に分布し,主として針葉樹林に生息している。日本では北海道,本州,四国標高約1500m以上の針葉樹林帯からハイマツ帯で繁殖し,冬には低山帯におりてくるものもある。ガーガーとしわがれた声で鳴き,またネコの声に似たミャーという変わった声も出す。つがいか小群をつくって生活していて,ハイマツの実を好んで食べる。英名は木の実をくだいて食べることによる。巣は針葉樹の上につくり,1腹3~4個の卵を産む。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ホシガラス」の意味・わかりやすい解説

ホシガラス
ほしがらす / 星鴉
nutcracker
[学] Nucifraga caryocatactes

鳥綱スズメ目カラス科の鳥。全長約35センチメートル。ユーラシア中部の高山と北部の針葉樹林に生息し、日本でも四国、本州、北海道に分布する。全体にチョコレート色で多数の小白斑(はくはん)が散在し、下尾筒と尾端が白い。主食は針葉樹の種子で、秋に蓄えて冬から早春に利用する。春夏には昆虫なども食べる。北アメリカ西部に近縁のハイイロホシガラスN. columbianaがある。

浦本昌紀


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百科事典マイペディア 「ホシガラス」の意味・わかりやすい解説

ホシガラス

カラス科の鳥。翼長18cm。全体黒褐色で背,頸側から腹面にかけ美しい白色縦斑がある。ユーラシア大陸の中部およびヒマラヤ等に分布。日本では留鳥として北海道,本州,四国の山岳地帯で繁殖,針葉樹林に多い。冬,低地へ移動するものもある。ガー,ガーと鳴く。ハイマツやシラベなどの種子,昆虫などを食べる。

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世界大百科事典(旧版)内のホシガラスの言及

【カラス(烏∥鴉)】より

…これらの種はいずれもカラス属に属し,和名は〈カラス〉とつけられているが,英名ではcrowのほかに,ワタリガラスをraven,ミヤマガラスをrook,コクマルガラスをjackdawという。またカラス属に近縁で別属の鳥にホシガラスやベニバシガラスがあるが,英名はそれぞれnutcrackerとchoughである。
[カラス科]
 カラス科Corvidaeは26属106種からなり,南極圏の島々,ニュージーランド,大洋中の島々を除き,世界中に広く分布している。…

【カラス(烏∥鴉)】より

…これらの種はいずれもカラス属に属し,和名は〈カラス〉とつけられているが,英名ではcrowのほかに,ワタリガラスをraven,ミヤマガラスをrook,コクマルガラスをjackdawという。またカラス属に近縁で別属の鳥にホシガラスやベニバシガラスがあるが,英名はそれぞれnutcrackerとchoughである。
[カラス科]
 カラス科Corvidaeは26属106種からなり,南極圏の島々,ニュージーランド,大洋中の島々を除き,世界中に広く分布している。…

※「ホシガラス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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