ホスゲンガス中毒(読み)ほすげんがすちゅうどく

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ホスゲンガス中毒」の意味・わかりやすい解説

ホスゲンガス中毒
ほすげんがすちゅうどく

ホスゲン吸入によるガス中毒をいう。ホスゲンは無色の青草のような臭気をもつガスで、第一次世界大戦中に毒ガスとして使用されたが、現在では合成染料原料や医薬品の製造、塩素置換剤、可塑剤などに用いられている。毒性は強いが、目、鼻、のどへの刺激が少ないため、ガスの吸入に気づかず、肺胞内で加水分解されて塩酸を生ずることによって肺胞上皮や毛細血管が侵害され、数時間後に急激に呼吸困難、遅脈、体温降下、循環障害などの症状が現れ、肺水腫(すいしゅ)や心臓衰弱などによって死亡する。労働衛生上の許容濃度は0.1ppmである。

[重田定義]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android