ホルモン補充療法(読み)ホルモンホジュウリョウホウ

デジタル大辞泉 「ホルモン補充療法」の意味・読み・例文・類語

ホルモンほじゅう‐りょうほう〔‐レウハフ〕【ホルモン補充療法】

エッチ‐アール‐ティー(HRT)

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百科事典マイペディア 「ホルモン補充療法」の意味・わかりやすい解説

ホルモン補充療法【ホルモンほじゅうりょうほう】

閉経前後になって女性ホルモンが不足すると,頭痛めまい,のぼせ,不眠などの更年期障害が起きる。また,女性ホルモンは骨からカルシウムが抜け出すのを防いで骨量を保ち,動脈硬化予防し,脳に作用して記憶力の低下を防ぐ働きもある。このため,不足すると骨粗鬆症になったり,動脈硬化や脳梗塞を起こす原因となる。こうした症状や病気を防ぐために,ホルモン剤を投与する治療法がホルモン補充療法である。 女性ホルモンは主に卵巣から分泌され,エストロゲン卵胞ホルモン)とプロゲステロン黄体ホルモン)の2種類がある。これらのホルモン分泌は20〜30歳代でピークに達し,40歳代後半から急速に衰え始め,閉経後2年以内に完全に停止する。このため,50歳代以上の女性は誰でも,女性ホルモンが欠乏した状態になる。 ホルモン補充療法では,通常はエストロゲン製剤とプロゲステロン製剤をともに服用する。エストロゲンを単独で使用すると子宮体癌(がん)の発生率が高くなるが,プロゲステロン製剤を併用すると,逆に発生率は2分の1〜3分の1に低くなるためである。治療の目的が更年期障害の改善なら,服用期間は閉経前後の数年間でよいが,骨粗鬆症,動脈硬化,老人性認知症痴呆)などの予防が目的であれば,さらに10〜20年続ける必要がある。 ホルモン補充療法は,欧米では閉経後の女性の30%が実施しているが,日本ではまだ1〜2%程度。1992年に初めて東京医科歯科大学産婦人科が行ったもので,今後の普及が期待されている。ただし,子宮体癌,乳癌既往がある人,血栓症,肝機能障害のある人,子宮筋腫が大きい人は症状を悪化させる可能性がある。いずれにしても,医師の指導のもとに行うことが大切である。→ホルモン療法子宮癌
→関連項目代替療法補助化学療法

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