日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ホワイト(Leslie Alvin White)
ほわいと
Leslie Alvin White
(1900―1975)
アメリカの文化人類学者。コロラド州のサリダに生まれる。ルイジアナ州立大学で学び、1927年シカゴ大学で学位取得、1930年ミシガン大学で教職を得る。同大に人類学部を創設し、1945年以降その主任教授を務める。F・ボアズの影響のもとに出発したが、のちにL・H・モルガン(モーガン)の進化主義思想を再評価し、ボアズらの研究方法や文化類型論に対する激しい批判を展開した。当時の反進化主義的な風潮のなかで、モルガンを積極的に評価する異端的ともいえる彼の立場は「新進化主義」とよばれた。彼は文化を技術文化、社会文化、イデオロギー文化の三つの側面に分け、技術文化に文化進化の動因を求める一種のテクノロジー決定論を唱えた。彼の進化理論はエネルギーの使用量を文化進化の尺度とする単系的進化論であり、生態学的要因を重視するスチュワードの多系的進化論の立場からは不十分なものであった。彼はミシガン大学を中心にサービスElman Rogers Service(1915―1996)やサーリンズMarshall Sahlins(1930―2021)らの多くの進化主義的人類学者を養成した。主著に『文化の進化』がある。
[濱本 満 2019年1月21日]