ボズネセンスキー(英語表記)Voznesenskii, Andrei Andreevich

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ボズネセンスキー」の意味・わかりやすい解説

ボズネセンスキー
Voznesenskii, Andrei Andreevich

[生]1933.5.12. ソビエト連邦モスクワ
[没]2010.6.1. ロシア,モスクワ
ロシアの詩人。ヨシフ・V.スターリン時代以降のソビエト文学界で最も著名な詩人の一人。少年期の戦争体験が心に深い傷を残し,のちの作品に鮮烈な影響を及ぼした。1957年にモスクワ建築大学を卒業。同大学在学中から作家のボリス・L.パステルナークに師事する。1958年に実験的な作品を収めた初の詩集が刊行された。1950年代末から 1960年代初めに文芸復興運動に参加,詩の朗読会で人気を集め,エフゲニー・エフトゥシェンコ,ベッラ・アフマドゥーリナらとともに,スターリン批判後に登場した若手詩人の代表として活躍した。作品は何度も当局非難を浴びたが政府公認作家としての地位を保ち,1978年にソビエト連邦国家賞を授与された。そのため,他の作家なら危険を伴う行動も可能で,ソ連のチェコスロバキア侵攻(→チェコ事件)を批判する手紙の執筆,作家アレクサンドル・I.ソルジェニーツィン擁護などを行なった。代表作は力強い隠喩を用いて戦争の恐怖を描いた『ゴヤ』Goya(1960)。ほかに,『放物線』Parabola(1960),『モザイク』Mozaika(1960),『反世界』Antimiry(1964)などの詩集,ウラジーミル・I.レーニンに捧げた叙事詩『ロンジュモ』Lonzhyumo(1963),長詩『オーザ』Oza(1964)など。(→ロシア文学

ボズネセンスキー
Voznesenskii, Nikolai Alekseevich

[生]1903.12.1. トゥラ
[没]1950.9.30.
ソ連の経済学者,政治家。 1919年共産党に入党。 31年赤色教授大学卒業後,同大学講師。 37年国家計画委員会議長,39年人民会議議長代理,47年政治局員。 43年ソ連科学アカデミー会員。 47年に著わした『祖国戦争の時期のソ連邦の戦争経済』 Voennaya ekonomika SSSR v period Otechestvennoi voinyが,I.スターリンから反マルクス的,反科学的と宣告され,49年すべての役職を剥奪,50年銃殺された。スターリン批判後,名誉を回復された。

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改訂新版 世界大百科事典 「ボズネセンスキー」の意味・わかりやすい解説

ボズネセンスキー
Andrei Andreevich Voznesenskii
生没年:1933-

ロシアの詩人。モスクワの学者の家庭に生まれ,建築大学を卒業した。1958年から詩を書き始めたが,ソビエト詩壇に登場したのは60年代になってからで,エフトゥシェンコ,アフマドゥーリナ,ロジェストベンスキー,オクジャワらとともに〈第四の世代〉の詩人として圧倒的な人気を博してきた。詩風は一口にいって,過去の抒情性の否定から出発して,新しい言葉の創造と視覚的なイメージの駆使などで,きわめてユニークな詩的世界を構築している。そのため文学官僚側からの批判もきびしく,62年《旗》誌に発表した現代アメリカについての叙事詩《〈三角形の梨〉からの四十の逸脱》は形式主義的な傾向が強いと批判された。だが,叙事詩《ゴヤ》(1960)では戦争の悲惨さをゴヤの絵に託して歌ったものとして高い評価を得た。このほか,《詩のある手紙》(1963),《反世界》《オーザ》(ともに1964),《アボーシ号よ》(1970),《まなざし》(1972)などの詩集がある。また,パステルナークの思い出をつづった散文の《わたしは14歳……》(1980),芸術随想の趣のある長詩《O》(1982)を発表している。
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百科事典マイペディア 「ボズネセンスキー」の意味・わかりやすい解説

ボズネセンスキー

ロシア(ソ連)の詩人。モスクワ生れ。建築専門学校卒業。スターリン批判後の世代の代表者で,その強烈な批判精神,実験意欲が高く評価されている。長詩《ゴヤ》(1960年),《オーザ》(1965年),詩集《反世界》(1964年)など。

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