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バイオリンやチェロなどの擦弦楽器における弓の扱い方。運弓法ともいう。ボーイングは音の長さ,根本的性格,ダイナミックス,他の音との結合のしかたを決定し,さらに感情を表現することができる。最初に運弓技術の可能性を追究したのはコレリとビバルディであるが,その後パガニーニは弓製作家のF.トゥールトが1820年ころ完成した現代の弓の性能を駆使して,音の深い陰影と表情を生み出すことに成功した。ボーイングには弓の使用部分と使い方によってさまざまな種類があるが,基本的には弓先から始まる運動である上げ弓up bow(∨の印)と,手元から始まる運動である下げ弓down bow(Πの印)とに大別される。レガートは一弓できわめて滑らかに奏し,音と音とを短く切るスタッカート奏法では手首から先を使い各音の間で弓を止める。さらに,弓を大きく使い各音をはっきり分離させるデタッシュ,弓先で固くスタッカートを行うマルトレ,弓の重心点で弾力性を利用して弓を跳躍させるスピッカートなどがある。
執筆者:寺本 まり子
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