ポスト小泉に安倍晋三(読み)ぽすとこいずみにあべしんぞう

知恵蔵 「ポスト小泉に安倍晋三」の解説

ポスト小泉に安倍晋三

自民党は2006年9月20日、21代総裁に官房長官安倍晋三を選んだ。安倍は衆参両院で首相に指名され、安倍内閣が発足した。5年半続いた小泉政権を継ぐもので、安倍は引き続き構造改革を進めると共に、小泉時代に行き詰まった東アジア外交の立て直しなどに力を注ぐことになる。安倍は戦後の首相で最も若い52歳。総裁選では安倍のほか財務相の谷垣禎一、外相の麻生太郎が立候補した。当初、安倍と同じ森派の元官房長官・福田康夫出馬が取りざたされた。福田は、首相の靖国神社参拝に反対を唱えるなど小泉政治に批判的な姿勢を示していた。最終的に福田は靖国問題で自民党内が二分されるのは好ましくないなどの理由から出馬を見送った。谷垣、麻生はそれぞれ所属派閥も小さく、支持の広がりが見られなかった。これにより、安倍の優位が一層強まり、総裁選は「消化試合」の観が強まった。投票結果は安倍464票(国会議員分267票、一般党員分197票)、麻生136票(議員分69票、党員分67票)、谷垣102票(議員分66票、党員分36票)だった。安倍は党幹事長に中川秀直、総務会長に丹羽雄哉、政調会長に中川昭一閣僚では外相に麻生太郎、財務相に尾身幸次、官房長官に塩崎恭久をそれぞれ起用した。安倍は臨時国会、07年度予算編成、通常国会を乗り切り、07年には統一地方選、参院選という高いハードルを越えなければならない。民主党代表の小沢一郎と政権争奪を賭けた戦いが続くことになる。

(星浩 朝日新聞記者 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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