ポリペプチド系抗生物質(読み)ポリペプチドケイコウセイブッシツ

病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版 「ポリペプチド系抗生物質」の解説

ポリペプチド系抗生物質

製品名
《コリスチンメタンスルホン酸ナトリウム製剤》
コリマイシン(ポーラファルマ)
メタコリマイシン(ポーラファルマ)
《ポリミキシンB硫酸塩製剤》
硫酸ポリミキシンB(ファイザー

 細菌の細胞壁を破壊し、細菌を死滅させるようにはたらく抗生物質です。


 殺菌作用は強力ですが、人体の細胞も破壊してしまうので、過敏症状ほか、薬によっては聴力障害や神経障害といった重い副作用がおこります。


 また、抗菌スペクトル(薬が効く細菌の種類)がグラム陰性桿菌いんせいかんきん大腸菌赤痢菌など)に限られています。そのため、ほかの抗生物質では効かない腸炎赤痢など感染症に用いられるのが原則です。


①過敏症状(発疹ほっしん、かゆみなどのアレルギー症状)がおこることがあります。また、ポリミキシンB硫酸塩製剤で、ショック、難聴、神経筋遮断作用による呼吸抑制などがおこることがあります。このような症状がおこったときは使用を止め、すぐ医師に相談してください。


吐き気嘔吐おうと、食欲不振、下痢などの症状が現れることがあります。


 このような症状が現れたら医師に相談してください。


錠剤カプセル剤があり、食後服用が原則です。1日あるいは1回の服用量、服用時間については医師の指示をきちんと守り、かってに服用を中止したり、減量・増量しないでください。


 服用するときは、十分な水(コップ1杯以上の水)で飲んでください。


②血液中の濃度一定でないと効果がない薬なので、指示された時間ごとに服用することが大切です。


 かってに減量したり、服用を中止すると、薬が効かなくなるばかりでなく、症状を悪化させたり、新たな感染症を引きおこすことにもなってしまいます。


問診の際にあらかじめ、持病・アレルギーなどの有無や、現在使用中の薬の有無を医師に報告するとともに、使用前に薬の効果と副作用について医師・薬剤師からよく説明を聞き、注意事項を守ってください。


 とくに、腎臓じんぞうに障害のある人、妊婦あるいは現在妊娠する可能性のある人が使用する場合は、服用量を減らすといった対策を講じないと、病状を悪化させたり、胎児たいじに悪影響を及ぼすこともあります。あらかじめその旨を医師に報告し、指示通りに服用してください。


④以前にポリペプチド系抗生物質を使用して過敏症状をおこしたことがある人は、原則としてこの薬を使用できません。あらかじめその旨を医師に報告してください。


⑤使用中にほかの薬を使う必要が生じた場合は、必ず医師に相談してください。とくに、コリスチンメタンスルホン酸ナトリウム製剤では、ボツリヌス毒素製剤やパロモマイシン硫酸塩製剤、ポリミキシンB硫酸塩製剤は麻酔剤、筋弛緩剤アミノグリコシド系抗生物質などとは併用しないでください。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ポリペプチド系抗生物質」の意味・わかりやすい解説

ポリペプチド系抗生物質
ポリペプチドけいこうせいぶっしつ

構造がおもにポリペプチド結合より成る抗生物質。アクチノマイシンC,バシトラシンA,ポリミキシンB,コリスチン,バンコマイシン,リストセチンなどがあり,作用はそれぞれ異なる。

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