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アメリカの画家。ワイオミング州コーディ生れ。アリゾナやカリフォルニアで育つ。ニューヨークに移ってアート・スチューデンツ・リーグでT.H.ベントンらに学び,次いでWPAの連邦美術計画(FAP)にも携わる。初期の作品にはシュルレアリスムやP.ピカソの影響が認められるほか,インディアン美術などアメリカの土着的要素も色濃く含んでいる。1943年にP.グッゲンハイムの〈今世紀美術画廊Art of This Century Gallery〉で初個展を開いたころよりしだいに独自の道を切り開き,40年代半ばから画布を床に敷き,缶に入った絵具を上からたらす技法(ドリッピングdripping)によって,描くという行為の直接性を探求した。以降,画面は大きく,また絵具が画面全体を覆いつくすようになり(オール・オーバーall-overの絵画),密度がきわめて高く,ある種の抒情性にも富む絵画が生まれる。51年以降は,白と黒だけを使った再現的な作品や初期の祭儀的なイメージを思わせる作品に戻ったが,56年,自動車事故のため悲劇的な死をとげた。彼はその〈アクション・ペインティング〉によってきわめて個性的な様式を創造したが,それはまたアメリカがはじめてもった独自の絵画,いわゆる〈アメリカ型絵画〉の先駆ともなった。なお,ポロックを中心とするアメリカのこのような絵画を抽象表現主義と呼び,それはヨーロッパのアンフォルメルに対応するものである。
執筆者:千葉 成夫
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…批評家ローゼンバーグが1952年の論文で初めて使った言葉。もともと,床に大きな画布をしいて中に入り込み文字どおりアクションによって描くポロックに由来し,狭義では彼の絵画のみに限定して用いられる。広義ではさらにマザウェルRobert Motherwell(1915‐91),クラインFranz Kline(1910‐62),マチューGeorges Mathieu(1921‐ ),リオペルJean‐Paul Riopelle(1923‐ )らを含めていわれる。…
…1940年代から50年代にかけて,アメリカで展開された一群の抽象芸術のこと。代表的作家はゴーキー,デ・クーニング,ホフマンHans Hofmann(1880‐1966),ゴットリーブAdolph Gottlieb(1903‐74),マザーウェルRobert Motherwell(1915‐91),ポロック,ガストンPhilip Guston(1913‐80),クラインFranz Kline(1910‐62),スティルClyfford Still(1904‐80),ニューマンBarnett Newman(1905‐70),ロスコら。 作家により様式はさまざまだが,全体として抽象的な様式によりながらも感情や内面性・精神性などを表現しようとする試みととらえることができ,はじめてのアメリカ独自の美術といいうる。…
…この催しでは,ハプニングにおいて〈自発的な,起こるべくして起こる何か〉(カプロー)が重要視され,一回性の偶然や自発性が強調されたのである。 カプローのハプニングの淵源には,J.ポロックのアクション・ペインティングとJ.ケージの偶然性の音楽があった。キャンバスを床にひろげ,体ごと中に入って激しいアクションによって絵具を飛び散らせたポロックは,肉体と意識の交錯を生(なま)の時間の中にさらしつづけたわけであるが,ハプニングは,この描く行為自体をさらに積極的に,純粋に演じようとした。…
※「ポロック」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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