マイコトキシン(英語表記)mycotoxin

翻訳|mycotoxin

デジタル大辞泉 「マイコトキシン」の意味・読み・例文・類語

マイコトキシン(mycotoxin)

コウジカビアオカビなどの真菌代謝産物人畜に摂取されると有害。アフラトキシンなど。黴毒かびどく

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精選版 日本国語大辞典 「マイコトキシン」の意味・読み・例文・類語

マイコトキシン

〘名〙 (mycotoxin) カビ二次的に生産する代謝物質の中で、ヒト動物に有害な生理作用をもつもの。肝障害を起こすアフラトキシンなど多数ある。カビ毒

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改訂新版 世界大百科事典 「マイコトキシン」の意味・わかりやすい解説

マイコトキシン
mycotoxin

カビ毒ともいう。カビ(真菌)が産生する毒素総称で,ヒトをはじめ家畜や魚類などに種々の障害をひき起こす。一般にカビによる疾病のうち,カビの感染によるものを真菌症といって,カビ毒による疾病であるカビ毒中毒症mycotoxicosisと区別するが,この両者を厳密に区別することは難しい。麦角菌中毒など食物につくカビによる中毒は古くから知られ,日本でも,米につくカビ毒についての研究が19世紀末から行われてきた。1918年に三宅市郎によって黄変米菌の分離などが行われたが,第2次大戦後,世界的にマイコトキシンについての研究が進み,現在多くの物質が明らかにされている。マイコトキシンは多くの真菌によって産生され,おもなものにPenicillium属によるシトリニンcitrinin,エリトロスキリンerythroskyrine,Aspergillus属によるアフラトキシンaflatoxin,ステリグマトシスチンsterigmatocystinなどがある。これらの物質は一般に分子量は小さいが,構造的には複雑なものが多く,化学的性質も多様で,肝臓腎臓中枢神経などに対し,多様な作用を現す。また,アフラトキシンやステリグマトシスチンなどのように発癌性をもつものもある。
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栄養・生化学辞典 「マイコトキシン」の解説

マイコトキシン

 カビ毒をいう.糸状菌の生産する,毒性のある物質.代表的なものに,アフラトキシンがある.生産する菌としてはAspergillus flavusClaviceps purpuraFusarium graminearumAspergillus ochraceusAspergillus parasiticusPenicillium viridicatumなどがある.

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「マイコトキシン」の意味・わかりやすい解説

マイコトキシン
まいこときしん
mycotoxin

カビが生産するかび毒をいう。カビの二次代謝生産物で、ヒトおよび動物に有害な生理作用をもつ。

[編集部]

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化学辞典 第2版 「マイコトキシン」の解説

マイコトキシン
マイコトキシン
mycotoxin

かびやキノコなどの菌類の産生する二次代謝産物毒素の総称で,数百種類が知られている.ピーナッツに付くかび由来のアフラトキシン B1は,強力な肝がん誘発作用を有する.[別用語参照]L-(+)-ムスカリン

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

世界大百科事典(旧版)内のマイコトキシンの言及

【肝臓癌】より

…原因は肝炎ウイルス(B型,C型)に求められることが多い。そのほかに,ヘモクロマトージス,飲酒,マイコトキシンmycotoxin(カビの有害な代謝産物),薬物として性ホルモン剤やトロトラストthorotrast(かつて血管・肝脾造影剤として使用された)などとの関連が重視されている。 初期には特有の症状はなく,合併している肝硬変の症状や肝硬変症様の臨床検査成績を示す。…

【肝臓癌】より

…原因は肝炎ウイルス(B型,C型)に求められることが多い。そのほかに,ヘモクロマトージス,飲酒,マイコトキシンmycotoxin(カビの有害な代謝産物),薬物として性ホルモン剤やトロトラストthorotrast(かつて血管・肝脾造影剤として使用された)などとの関連が重視されている。 初期には特有の症状はなく,合併している肝硬変の症状や肝硬変症様の臨床検査成績を示す。…

【コウジカビ(麴黴)】より

…応用性の高い反面,有害菌もあり,フミガツスコウジカビA.fumigatusは40℃でよく生え,鳥類(ときに人体)の肺に生えて病気(アスペルギルス病)をおこし,カワキコウジカビA.glaucus群はやや乾いたものを好むので,塩分や糖分の多い食品や皮革製品,レンズなどに発生することが多い。ニホンコウジカビに近いフラブスコウジカビA.flavusはカイコをはじめとする昆虫のこうじかび病をおこし,有毒のアフラトキシンを生産し,マイコトキシン研究の端緒となった。コウジカビは系統的にはアオカビにごく近い。…

【生物兵器】より

…また朝鮮戦争下にアメリカ軍が使用したと報告されたが,アメリカ側は否定した。1980年代にもアフガニスタンでソ連側,カンボジアでベトナム側が〈マイコトキシン〉を使用したと報道されたが,ソ連側,ベトナム側は否定した(またこの兵器名は非科学的である)。このように真実の認定が困難であることと虚偽の政治宣伝に利用されやすいことは,生物兵器の大きな特徴である。…

※「マイコトキシン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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