マクリーシュ(英語表記)MacLeish, Archibald

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マクリーシュ」の意味・わかりやすい解説

マクリーシュ
MacLeish, Archibald

[生]1892.5.7. イリノイグレンコー
[没]1982.4.20. ボストン
アメリカ詩人エール大学卒業後ハーバード大学に学び,弁護士を開業したが,1923年パリにおもむき詩作に専念,フランス象徴派や T. S.エリオット,パウンドらの影響下に『幸福な結婚』 The Happy Marriage (1924) ,『月の街路』 Streets in the Moon (26) など実験的な手法による作品を発表。 28年帰国,翌年のメキシコ旅行を契機にアメリカ再発見の意識を強め,『新発見の国』 New Found Land (30) ,『征服者』 Conquistador (32,ピュリッツァー賞) などの詩集を発表する一方,詩劇恐慌』 Panic (35) ,韻文によるラジオドラマ『都市の崩壊』 The Fall of the City (37) ,『空襲』 Air Raid (38) などによって,切迫した社会情勢を訴え,「ニューディール桂冠詩人」と称された。 F.ルーズベルト大統領の信任を得て,一時,議会図書館館長 (39~44) ,国務次官補 (44~45) など政府の要職についたが,第2次世界大戦後は再び本来の創作に集中して『詩集 1917~52年』 Collected Poems 1917-1952 (52) および,旧約ヨブ記』に取材した詩劇『J.B.』 (58) を発表,ともにピュリッツァー賞を受けた。ほかに『人間の季節』 The Human Season: Selected Poems 1962-1972 (72) など。 49~62年ハーバード大学教授。評論に,詩人の責任を論じた『無責任な人々』 Irresponsibles (40) ,詩論『詩と経験』 Poetry and Experience (61) など。

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改訂新版 世界大百科事典 「マクリーシュ」の意味・わかりやすい解説

マクリーシュ
Archibald MacLeish
生没年:1892-1982

アメリカの詩人,劇作家。詩人としての長い経歴のなかで,主題も詩風も二転三転した。第1次大戦に従軍,〈ロスト・ジェネレーション〉の作家らとの交流から,初めは自己に沈潜した抒情詩を書いた。その後1930年代に社会問題に目覚めて積極的に発言,《征服者》(1932)などの叙事詩の大作を完成させ,さらに第2次大戦後は,理想主義から現実主義に転じて,社会活動も創作活動も,アメリカの現体制を代弁するようになっていった。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「マクリーシュ」の意味・わかりやすい解説

マクリーシュ
まくりーしゅ
Archibald MacLeish
(1892―1982)

アメリカの詩人。イリノイ州生まれ。エール、ハーバード両大学に学び、弁護士開業後パリに行き、E・パウンド、T・S・エリオット、イェーツらの強い影響を受け詩作に没頭。帰国後、社会意識の濃厚な詩集『新天地』(1930)、『征服者』(1932)を発表。以後、詩作品のほか、ラジオドラマ、詩劇、講演集など多くの作品がある。ピュリッツァー賞を3回受賞。ルーズベルト大統領に登用されて国務次官補を務めたほか、1946年にはユネスコ総会議長として活躍した。

[平野信行]

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百科事典マイペディア 「マクリーシュ」の意味・わかりやすい解説

マクリーシュ

米国の作家。弁護士を経てパリで詩作を始め,《A.マクリーシュのハムレット》(1928年)等で第1次大戦後の絶望をうたう。1928年帰国,《新しく発見された国》(1930年)《征服者》(1932年)で強い国家意識を表明,1940年代には議会図書館長,国務次官補となる。ほかに詩劇《恐慌》(1936年),《J.B.》(1958年)など。

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