マグリット(英語表記)René Magritte

精選版 日本国語大辞典 「マグリット」の意味・読み・例文・類語

マグリット

(René Magritte ルネ━) べルギーのシュールレアリスム画家。緻密な写実的手法を用いて幻想的な情景を描いた。(一八九八‐一九六七

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デジタル大辞泉 「マグリット」の意味・読み・例文・類語

マグリット(René Magritte)

[1898~1967]ベルギーシュールレアリスムの画家。日常的事物イメージを超現実的に組み合わせ、詩的な幻想空間を描いた。

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改訂新版 世界大百科事典 「マグリット」の意味・わかりやすい解説

マグリット
René Magritte
生没年:1898-1967

ベルギーの画家。P.デルボーとともに20世紀ベルギー絵画を代表する。ブリュッセルの西方,レシーヌ生れ。10歳ころから絵を始め,1916年から2年間ブリュッセルの美術学校に学ぶ。19年ころから未来主義やオルフィスムに強い関心を示し非象形的(ノン・フィギュラティフ)な絵画をめざすが,22年詩人ルコントMarcel Lecomteを通じて知ったキリコの《愛の歌》に衝撃をうけ,25年シュルレアリスムへ転ずる。27年パリ郊外に移りA.ブルトン,P.エリュアールらシュルレアリストと親交を結ぶ。30年ブリュッセルに戻る。マグリットの絵画は,ありふれたものを写実的に描きだしながら,現実にはありえないような組合せ,配置,関係を示すことで,非日常的で特異な世界を作り出している。ブルトンはそれを〈白日の光のなかのシュルレアリスム〉と評した。彼のこのようなトロンプ・ルイユ,つまり視覚を超えたいわば〈観念〉のトロンプ・ルイユは,同世代のシュルレアリストばかりでなく,ダインJim DineやC.オルデンバーグなど,のちのポップ・アートの作家にも少なからぬ影響を及ぼしている。
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百科事典マイペディア 「マグリット」の意味・わかりやすい解説

マグリット

ベルギーの画家。ブリュッセルのアカデミーに学ぶ。一時キュビスムに傾倒したが,1925年ころからシュルレアリスムに向かい,1927年パリに出てブルトンエリュアール交友トロンプ・ルイユを好んで用い,現実にはありえない物の組合せや関係を示す手法により,非日常的で特異な象徴的画面を構成した。その影響は美術をはじめ広告デザインの分野にも広く及んだ。なお,フーコーにマグリット論《これはパイプではない》(1968年)がある。
→関連項目デルボーマッタ

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「マグリット」の意味・わかりやすい解説

マグリット
まぐりっと
René Magritte
(1898―1967)

ベルギーの画家。11月21日エノー地方のレッシーヌに生まれる。ブリュッセルの美術学校に学び、キュビスム、未来派の影響を受けた作品を制作していたが、1922年デ・キリコの作品と出会いシュルレアリスムに転向。25年の『窓』にみられるような最初のシュルレアリスム風な作品を描く。26年ベルギーのシュルレアリスムのグループと「神秘協会」を結成し、翌年パリに出て、アンドレ・ブルトン、ポール・エリュアールらと親交を結び、29年シュルレアリスムの正式メンバーとなった。初期の作品には、事物の唐突な出会いを意図した「デペイズマン」dépaysementの手法が多くみられ、一見無関係と思える日常的なイメージを組み合わせ、あるいは超自然的な状況を設定することによって、斬新(ざんしん)な詩的・神秘的絵画空間を描出した。その後、ことばとイメージ、意味するものと意味されるものとの関係を追求した作品を制作したが、マグリットの主要なテーマ、手法は1930年代にほぼ出そろっており、一時期を除けばその後の本質的な変化はみられない。67年8月15日ブリュッセルで死去した。代表作に『アルンハイムの領土』(1960)などがある。

[徳江庸行]

『A・ハマハー解説、高橋康也訳『マグリット』(1975・美術出版社)』『小倉忠夫解説『現代世界美術全集22 アンソール/マグリット』(1974・集英社)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マグリット」の意味・わかりやすい解説

マグリット
Magritte, René (-Francois-Chislain)

[生]1898.11.21. レッシーヌ
[没]1967.8.15. ブリュッセル
ベルギーの画家。 1916~18年ブリュッセルの美術学校に学ぶ。キュビスム未来派の影響を受けたのち,22年頃キリコの絵画を知り,シュルレアリスム風の絵をかく。 27~30年パリで詩人 A.ブルトン,P.エリュアールらと交わり,シュルレアリスム運動に参加。互いに孤立する現実的物体の結合,並置,変貌を通じて言葉とイメージの関係に新しい光を当て,新鮮な詩的イメージを創造。のちのポップ・アートにも多大な影響を及ぼした。帰国後は没するまでベルギーを離れなかった。主要作品は『眼』 (1935頃,ニューヨーク近代美術館) 。

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