マツカサトカゲ(読み)まつかさとかげ(英語表記)stump-tailed skink

改訂新版 世界大百科事典 「マツカサトカゲ」の意味・わかりやすい解説

マツカサトカゲ (松毬蜥蜴)
stump-tailed skink
double-headed skink
Trachydosaurus rugosus

スキンク科のトカゲで,切断したような短い尾をもつ。全身がきわめて堅い大きなうろこで覆われ,あたかも“松かさ”のように重なっているのでこの名がある。オーストラリア南・東部に分布し,全長25~30cm,尾はその1/5ほど。頭部はほぼ三角形で胴が太く,尾は扁平で短く頭のように見える。四肢は短く各指も短くてほぼ同大。体色には灰褐色から黒褐色まで変異がある。荒れ地や半砂漠にすみ,餌はカタツムリミミズ昆虫のほか果実や花などの植物質。行動はにぶいが,皮骨板が発達し,角質の体鱗の中に多くの骨質の結節があって堅いため,天敵も歯が立たない。特有の自衛手段として,口を開き鮮やかな青色の舌を突き出しておどすが,これは堅いうろこの持主であることの標識色でもある。このようなおどしは近縁種アオジタトカゲTiliqua scincoidesにも見られる。卵胎生で1~3匹の大きな子を生む。
トカゲ
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「マツカサトカゲ」の意味・わかりやすい解説

マツカサトカゲ
まつかさとかげ
stump-tailed skink
double-headed skink
[学] Trachydosaurus rugosus

爬虫(はちゅう)綱有鱗(ゆうりん)目スキンク科のトカゲ。切断したような短い尾をもつ種で、オーストラリア南部・東部に分布し、半砂漠や荒れた乾燥地に生息する。全長25~30センチメートル、尾はその5分の1ほどと短く扁平(へんぺい)で、あたかも両端が頭のようにみえる。四肢が短く、各指も小さくてほぼ同大。行動は鈍いが、和名のように全身を松かさ状に重なった大きな堅い体鱗で覆われているため、猛禽(もうきん)類やヘビのような天敵も歯がたたない。とくに背中の鱗(うろこ)の角質中には多くの堅い骨質の結節がある。また特有の自衛行動として、敵に対すると、口を開き鮮やかな青色の舌を突き出して脅す。これは近縁種のアオジタトカゲTiliqua scincoidesにもみられ、歯がたたない堅い体鱗の持ち主であることを、天敵に知らせる警告信号とも考えられる。餌(えさ)はカタツムリ、ミミズ、昆虫のほか、果実や花などの植物質である。卵胎生で、雌親の半分ほどの大きな子を1~3頭産む。

[松井孝爾]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マツカサトカゲ」の意味・わかりやすい解説

マツカサトカゲ
Trachydosaurus rugosus; stump-tailed skink

トカゲ目トカゲ科。体長 45cm内外。体は太く,全身大きな鱗におおわれ,その様子が松かさを思わせるのでその名がある。尾は太く短く,先端も丸く,一見頭と同じようにみえる。四肢は短くて小さい。卵胎生草食性で,オーストラリア内陸部に分布する。

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