マリモ(毬藻)(読み)マリモ(英語表記)Cladophora sauteri

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マリモ(毬藻)」の意味・わかりやすい解説

マリモ(毬藻)
マリモ
Cladophora sauteri

藻類シオグサ目シオグサ科に属する淡水産の藻類。清冷な湖沼に産する。本種はヨーロッパ (ドイツ,デンマーク,スウェーデン,イギリス) ,シベリアにも分布するが,北海道の阿寒湖が分布の南限であるため早くから国指定特別天然記念物に指定されている。藻体は長円筒形の細胞から成り,著しく分枝しながら立体的にあらゆる方向にほぼ均等に伸長するので,径2~15cmの美しい緑色の球になる。この球状になる特性を重視してマリモ属 Aegagropilaという属を立てた人もいるが,糸状体は本質的にシオグサ属に同じである。なお択捉島の内保沼および北海道チミケップ湖にはウツロマリモ C. sauteri var. borgeanaという藻体に内腔を有する変種が知られ,北海道キモマトウおよび塘路湖には藻体が塊形になる品種トロマリモ C. sauteri form. profundaが知られ,山梨県富士山中湖にはフジマリモ C. sauteri var. yamanakaensisという親指頭大で糸状枝が粗雑な変種が知られている。またサハリン遠場湖には糸状枝が互いにからみ,綿のようになっている C. lagerheimiiという別種が知られている。青森県下北左京沼にはきわめて矮小なヒメマリモ C. minimaという種がある。

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