マルエージ(英語表記)maraging

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マルエージ」の意味・わかりやすい解説

マルエージ
maraging

極低炭素合金マルテンサイト時効硬化させる操作。マルテンサイト時効 martensite agingからつくられた語。ニッケル 18~25%の鋼にコバルトモリブデンチタンニオブなどを適量加え,Ms 点を常温以上 200℃ぐらいとする。この合金鋼高温のγ固溶体状態から Ms 点以下に冷却すると通常の炭素鋼マルテンサイトと違って軟らかく粘いマルテンサイトとなる。これをおよそ 500℃で焼戻すと,Ni3Mo ,Ni3Ti 相の微細析出が生じ著しい時効硬化を示す。これがマルエージ鋼でアメリカのインコ社により開発された。マルエージ鋼は,超強力鋼の一種で,実用的には引張強さ 240 kgf/mm2 程度の強度水準が達成されている。ウラン濃縮用遠心分離機,ロケットのモータケース,航空機の脚などに用いられる。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android