精選版 日本国語大辞典 「マルコーニ」の意味・読み・例文・類語
マルコーニ
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イタリアの発明家,企業家。無線電信を実用化したことで知られる。ボローニャの富裕な家に生まれた。マルコーニはおもに家庭教師について教育を受けた。H.ヘルツが電波を発見したあと,ボローニャ大学の教授リギA.Righi(1850-1921)は電波の実験をしていた。マルコーニはリギの教えを受けつつ1894年に無線電信の実験を始め,翌年に35kmにわたる無線電信実験に成功した。96年にはイギリスに渡り,以後はイギリスで無線の実用化を進めた。同年に無線電信に関する最初の特許を出願し,翌年〈無線電信および信号会社〉(のちマルコーニ無線電信社となる)を設立した。1900年には同調に関する特許をとった。当時は電離層の存在が知られておらず,水平線を越える遠距離無線電信は不可能と考えられていたが,マルコーニは01年に大西洋横断無線電信に成功し,07年にはこれによる営業通信を開始した。これらの業績のゆえに,彼は09年にノーベル物理学賞を授けられた。
マルコーニ社は,イギリス海軍およびロイズ海上保険会社と契約して各国の無線電信における独占をほぼ実現し,ドイツのテレフンケン社と激しい競争を繰り広げた。第1次世界大戦に際して,アメリカの無線電信がマルコーニ社に独占されていることが問題となり,アメリカ海軍とGE社の主導によりアールシーエー(RCA)社が設立されアメリカ・マルコーニ社の資産を取得した。マルコーニ自身は,第1次世界大戦にイタリアが参戦すると,イタリアに帰り枢密顧問官として軍事通信に協力した。大戦後には,パリ講和会議にイタリア代表として参加した。第1次世界大戦では,マルコーニ社は敵艦電波の方向探知法を実用化した。同社のフランクリンC.F.Franklinと協力して超短波通信を開発し,700トンの豪華ヨット〈エレットラ〉に機器を積んで実験した。この結果をもとに,マルコーニ社は1920年代にイギリスと世界中の植民地とを結ぶ短波ビーム無線網を建設した。晩年はムッソリーニとファシスト党の支持者で,ムッソリーニにより侯爵に叙せられたが,英伊開戦前に死去した。
執筆者:高橋 雄造
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1874~1937
無線電信を完成したイタリアの電気技術者,発明家。ヘルツが発見した電磁波を利用して,1895年に無線電信の実験に成功した。さらに1901年には大西洋横断無線通信に成功した。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報
出典 旺文社世界史事典 三訂版旺文社世界史事典 三訂版について 情報
… ヘルツの実験は各国の物理学者により追試が盛んに行われたという。しかし,電波応用の歴史は,発明家G.マルコーニによって開かれた。マルコーニは20歳のとき,ヘルツの実験を知り,コイルやコヒーラー(鉱石検波管の一種)を用いて実験を行い,95年には,10m離れたところから,電波でベルを鳴らすような装置を作ることに成功したという。…
※「マルコーニ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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