マルティヌー

百科事典マイペディア 「マルティヌー」の意味・わかりやすい解説

マルティヌー

チェコの作曲家。少年期から作曲とバイオリンに才能をあらわし,1906年−1910年プラハ音楽院に入学。1917年−1923年チェコ・フィルハーモニー管弦楽団でバイオリン奏者を務め,その間スークに作曲を学ぶ。1923年パリルーセル師事し,本格的な作曲活動に入る。チェコのドイツ併合で帰国の道を閉ざされ,1941年渡米。プリンストン大学で作曲を教える一方,クーセビツキーの依頼による《交響曲第1番》(1942年)を皮切りに1946年までに5曲の交響曲を発表し,作風は民族的色合いを強めた。1953年以降は主にローマ,ニース,バーゼルで暮らし,故国へは戻らずに生涯を終えた。代表作に,《コンチェルト・グロッソ》(1937年),《2群の弦楽合奏,ピアノとティンパニのための二重協奏曲》(1938年),ナチス蛮行を告発した管弦楽曲《リディツェ追悼》(1943年),《交響曲第6番・交響的幻想曲》(1953年),オラトリオギルガメシュ叙事詩》(1955年),フィルクスニーに献呈された《ピアノ協奏曲第4番・呪文》(1956年),7つの弦楽四重奏曲(1918年−1947年)などがある。→フルニエ
→関連項目合奏協奏曲

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改訂新版 世界大百科事典 「マルティヌー」の意味・わかりやすい解説

マルティヌー
Bohuslav Martinů
生没年:1890-1959

チェコの作曲家。バイオリン奏者として活躍を始めるが,独学であった作曲がしだいに中心となり,作曲家のJ.スークらの教えを受ける。初期にはチェコの民謡に興味をもっていたため民族的色彩が強い曲を書いていたが,1910年代にはドビュッシーの影響を受けた印象主義的作風をとる。23年パリに留学,同地にとどまってフランス六人組やストラビンスキーに近づき,新古典主義的な作風をとり,ネオ・バロック的な作品を残している。40年ナチスに追われ,アメリカに渡るが,以後は《ピアノ協奏曲第4番呪文》(1956)のような,独自の民族的色彩の強い新古典主義的作風をとるに至る。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マルティヌー」の意味・わかりやすい解説

マルティヌー
Martinů, Bohuslav

[生]1890.12.8. ポリチュカ
[没]1959.8.28. リースタール
チェコの作曲家。プラハ音楽院でバイオリンを学び,チェコ・フィルハーモニー管弦楽団に所属したが,1923年にパリに出て A.ルーセルに作曲を師事。 40年にナチスから逃れてアメリカに移住し,プリンストン大学とバークシャー音楽センターで教えた。 46~48年プラハ音楽院教授として一時帰国したが再びアメリカに戻り,52年にアメリカ国籍を取得,57年以降はスイスのプラッテルンに引退した。多作で新古典主義的な作風をもち,チェコの民族性やフランス近代音楽,ジャズなどの影響がみられる。主作品は『バイオリン協奏曲』 (1943) ,オラトリオ『ギルガメシュ物語』 (57) 。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「マルティヌー」の意味・わかりやすい解説

マルティヌー
まるてぃぬー
Bohuslav Martinů
(1890―1959)

チェコスロバキアの作曲家。J・スークおよびA・ルーセルに師事。新古典主義に属する作曲家であるが、その音楽は、民族主義的作風、コンチェルト・グロッソをはじめとするバロック時代の音楽形式への傾倒、ジャズのイディオムの導入など、折衷主義的傾向を示している。第二次世界大戦中はアメリカに渡り、プリンストン大学、カーティス音楽学校などで教鞭(きょうべん)をとる。多作家として知られ、その作品はオペラ、バレエなどの劇音楽から、管弦楽曲、協奏曲、室内楽曲、合唱曲に至る膨大な数に及んでいる。

[寺田兼文]

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ピティナ・ピアノ曲事典(作曲者) 「マルティヌー」の解説

マルティヌー

ボヘミアのポリチュカ生まれ。チェコの作曲家。内向的な性格で、幼少の頃から、音楽面ではかなりの才能をみせていた。1900年から作曲を始め、数多くの室内楽曲をのこした。
19東ボヘミア06年にプラハ音楽院 ...続き

出典 (社)全日本ピアノ指導者協会ピティナ・ピアノ曲事典(作曲者)について 情報

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