マレーグマ(英語表記)Malayan sun bear
Helarctos malayanus

改訂新版 世界大百科事典 「マレーグマ」の意味・わかりやすい解説

マレーグマ
Malayan sun bear
Helarctos malayanus

食肉目クマ科の哺乳類。インド北東部からミャンマー,タイ,スマトラ島ボルネオ島マレー半島森林に分布する小型のクマ。ツキノワグマに似るが,小型で体毛が著しく短く,全体にきゃしゃに見える。耳は小さい。体色は褐色ないし黒色,吻(ふん)と胸に白色あるいはくすんだ黄色の斑紋がある。胸の斑紋はツキノワグマのそれに似るがU字型。体長1.1~1.4m,肩高70cm前後,尾長3~7cm,体重27~65kg。50kgを超えるものは少ない。夜行性果実のほかハチ,アリ,シロアリなどの昆虫好み木登りが巧みで長時間樹上で過ごし,しばしばこれらの食物を樹上でとる。そのほか,小動物を捕食する。人に危害を加えることはほとんどないが,果樹園に出没し,農作物を荒らすことがある。繁殖期は一定していない。雌は木の根もとの空所などを巣として,妊娠期間95日前後で,1産1~2子を生む。誕生時の子は325g前後。飼育下での寿命は20年。
クマ
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「マレーグマ」の意味・わかりやすい解説

マレーグマ
まれーぐま
Malayan sun bear
[学] Helarctos malayanus

哺乳(ほにゅう)綱食肉目クマ科の動物。ミャンマー(ビルマ)からマレー半島、スマトラ島、ボルネオ島の森林地帯に生息する。頭胴長1.4メートル、体重70キログラム、クマの仲間ではもっとも小さい。他のクマに比べて足が細く長い。前胸にVまたはU字形の白斑(はくはん)がある。曲がった鋭いつめをもち、クマのなかではいちばん木登りが上手である。雑食性で木の実、昆虫などを食べるが、ナマケグマと同様シロアリを好んで食べる。また、ココヤシの実を食べるため、その農園を荒らすことがあるという。繁殖は一年中続き、普通2子を産む。20年生きた記録がある。

[渡辺弘之]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マレーグマ」の意味・わかりやすい解説

マレーグマ
Helarctos malayanus; Malayan sun bear

食肉目クマ科。小型のクマで体長 120cm,体高 70cm内外。毛は短く,四肢は長い。全身黒色であるが,胸に月の輪状の斑紋があり,鼻先も灰黄褐色。木登りがうまい。夜行性。雑食性で,昆虫類,小動物,果実などを食べる。ミャンマー,タイ,マレー半島,スマトラ島などに分布し,森林地帯で生活している。

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世界大百科事典(旧版)内のマレーグマの言及

【クマ(熊)】より

…アライグマ科,イタチ科に近縁で,クマ類は肉食から植物食に転向するにつれて体を大型化してきたものと思われる。体長は,もっとも小型のマレーグマで1.1~1.4m,もっとも大型のヒグマで2.8m。体重は同じく27kgから780kg(食肉類中最大)である。…

※「マレーグマ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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