日本大百科全書(ニッポニカ) 「マーケット・シェア」の意味・わかりやすい解説
マーケット・シェア
まーけっとしぇあ
market share
ある企業がその属する市場において、どれだけの生産量ないし供給量を占めているかという比率(パーセンテージ)。市場占有率、市場占拠率ともいう。マーケット・シェアを最大の企業から順に累積したものが集中度である。
経済分析においてマーケット・シェアが問題になるのは、次の二つの理由による。第一に、寡占企業は一般にマーケット・シェアの拡大を求めて競争するからである。それが上昇すれば、従業員の志気(モラール)の向上、金融市場の信用の上昇、規模の経済が達成されやすくなる等々の利益が生ずるので、それを求めて新製品の開発・創出、価格形成、市場展開などの経営戦略ないし市場行動が展開される。第二に、それが寡占産業の市場構造を左右するからである。マーケット・シェアの大きい企業、集中度の高い産業ほど、その売上利潤率、資本利潤率が高いだろうし、その価格に占める販売費用が大きく、それを利用して製品差別が行われやすく、参入阻止も行われやすいという市場構造が形成される。
[一杉哲也]