ミズワラビ(英語表記)water fern
Ceratopteris thalictroides (L.) Brongn.

改訂新版 世界大百科事典 「ミズワラビ」の意味・わかりやすい解説

ミズワラビ
water fern
Ceratopteris thalictroides (L.) Brongn.

水中湿地に生じるシダ植物ホウライシダ科の一年草根茎は短く斜上する。葉は叢生(そうせい)し,やわらかい草質で,2~3回羽状に分裂し,無毛。羽片や小羽片の分岐部にしばしば芽をつくり,倒れた葉から子株を生じる。葉脈遊離脈のない単純な網目をつくる。幼葉の基部には1対の托葉状の鱗片があり,胞子をつける葉はやや高く伸び,いっそう細かく分裂し,裂片は細くて長い。胞子囊群は葉縁に並んで生じ,反りかえった葉縁で包まれる。ミズワラビは熱帯を中心に分布しており,条件のよい場所では草丈80cmほどに達し,食用にもされる。温室内や熱帯では越年する。ミズワラビの改良種で,浮水性の葉をつけるアメリカミズワラビC.pterioides Hieron.などとともに,熱帯魚の飼育水槽に植えて観賞される。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ミズワラビ」の意味・わかりやすい解説

ミズワラビ
みずわらび / 水蕨
[学] Ceratopteris thalictroides (L.) Brongn.

ミズワラビ科の一年生シダ。根茎は短く、わずかに鱗片(りんぺん)があり、柔らかい無毛の葉を束生する。葉には栄養葉と胞子葉の2型がある。栄養葉は胞子葉よりも小さく、網状脈をもち、2、3回羽状に深裂し、羽片基部に芽をつけることがある。胞子葉は50センチメートルになり、栄養葉よりもさらに細かく裂ける。裂片は角(つの)状で、辺縁内側へ折れて胞子嚢(のう)を生ずる。暖地に多く、水田沼地に生える。淡水魚の水槽に観賞用として利用されるが、東南アジアでは食用にもする。

[西田治文]


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百科事典マイペディア 「ミズワラビ」の意味・わかりやすい解説

ミズワラビ

ホウライシダ科の一年生水生シダ。本州中部〜沖縄,東南アジアに広く分布し,溝,水田,沼などにはえる。根茎は小さく,葉は集まって出て,水中および水上に立ち,高さ30〜60cm,不規則に2〜4回羽状深裂し,葉の大きさや切れ込みには変化が多い。葉は柔らかく食用となり,また熱帯魚の水槽などにも入れられる。

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