ミドロージアンの心臓(読み)ミドロージアンのしんぞう(英語表記)The Heart of Midlothian

改訂新版 世界大百科事典 「ミドロージアンの心臓」の意味・わかりやすい解説

ミドロージアンの心臓 (ミドロージアンのしんぞう)
The Heart of Midlothian

イギリスの小説家W.スコットの代表作。1818年刊。ミドロージアンはスコットランドの州で,題名エジンバラを指す場合もあるが,この作品ではエジンバラにある牢獄の通称。18世紀に起こったエジンバラの暴動を背景に,貧しい農民の娘ジーニー・ディーンズが嬰児殺し嫌疑で投獄された妹の生命を救うためにさえ虚偽の証言を拒む凜(りん)とした良心と,ただ一人ロンドンに旅し,王妃に直訴して刑の赦免を得る勇気と愛情を描き,スコットランド民衆の中にあるプロテスタントの廉直と深い愛情を真の典型として創造した。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のミドロージアンの心臓の言及

【スコット】より

…スコットの二十数編の小説は〈《ウェーバリー》の著者〉という匿名で出版されたため,一括して〈ウェーバリー小説〉と呼ばれる。初期のものは最高傑作《ミドロージアンの心臓》(1818)のほか《ガイ・マナリング》(1815),《好古家》(1816),《ラマームーアの花嫁》(1819)など,すべてスコットランドの近い過去を題材とし,貴族から浮浪者までの社会各層の人物を活写する民族的記憶の文学といえる。スコットは続いて《アイバンホー》(1820)で中世のイングランドを舞台とし,その後15世紀フランス,エリザベス女王の宮廷などを描いたが,これらは歴史を写実的にとらえるよりも,むしろロマンティックな冒険物語の色彩が強い。…

※「ミドロージアンの心臓」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android