ミナスジェライス(英語表記)Minas Gerais

改訂新版 世界大百科事典 「ミナスジェライス」の意味・わかりやすい解説

ミナス・ジェライス[州]
Minas Gerais

ブラジル南東部の内陸州。州都ベロ・オリゾンテ。面積は全国5位の58万3248km2で,全国土の6.85%を占める。人口は1789万1494(2000),全国2位で,全人口の10.6%に相当する。古い高原が浸食を受けてできたいわゆるブラジル高原上にあり,平均標高800mである。最高点はエスピリト・サント州との境界にあるバンデイラ山(2890m)である。国内で最も起伏に富む地形と,南部北部の中間にある位置のため,多様な気候条件に恵まれている。州都の気温は,最も暖かい2月で平均22℃,最も寒い7月は17℃。12月から3月までが雨季で,州の平均降水量は年間1000~1500mm。南東部で最も濃密な植生が見られ,セラード40万8662km2,熱帯林14万5203km2カーチンガ2万5175km2,松などの林2295km2である。

 州名は〈鉱物のある原野〉という意味で,良質の鉄鉱石(品位45~68%)約250億t,マンガン鉱(42%以上)600万t,同(25~42%)800万t,ボーキサイト(62%以上)300万t以上が埋蔵されている。そのほか硫黄スズニッケル,金,ダイヤモンド,貴石なども産出する。鉱業生産は全国1位で,鉄鉱1億0300万t,ボーキサイト131万t,マンガン73万t,金4086t(1978)である。一方,米とコーヒーの生産高はそれぞれ全国2位と3位。牧畜生産は全国2位。牛の頭数2000万(1978)は全国3位。州生産の約48%,就業人口の最大部分は農業に属するが,ベロ・オリゾンテを中心に近年,工業化の進展が顕著である。

 17世紀末にこの地方で金が発見され,ブラジル植民地の各地およびポルトガル本国から大量の移民が流入した。オウロ・プレトがおもな産金地帯として,政治・商業・文化の中心地となった。同市をはじめ,サン・ジョアン・デル・レイ,サバラなどにバロック様式の華麗な教会が競って建立され,今日ブラジル有数の史跡,観光地となっている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のミナスジェライスの言及

【バンデイラ】より

…ポルトガル領ブラジルのトルデシーリャス条約線以西への拡大,対オランダ戦争(1630‐54)への従軍,逃亡奴隷の集落パルマーレスの攻略(1690年代)など,バンデイラは単なる略奪的経済行為を超えた政治的・軍事的貢献をポルトガル帝国のために行った。1693年ミナス・ジェライスで金を発見し,植民地内外からのゴールドラッシュを引き起こしたのも,サン・パウロのバンデイラであった。【山田 睦男】。…

【ブラジル】より

… 1889年にブラジルで君主政が倒された理由の一つは,国王と地方の経済的・政治的有力者との対立であったし,その結果出現した第一共和政(1889‐1930)も〈州知事政治〉と呼ばれ,有力な州政府を握る地方政治家の合意によって成り立っていた。すなわち,各州には州兵の維持を含む広範な自治権が与えられたが,それと交換に各州の有力者は,サン・パウロ州とミナス・ジェライス州の政治家が交互に連邦政府を握ることを許したのである。この〈州知事政治〉は,第1次大戦の前後から工業経営者,労働者,都市中間層など新しい経済的・政治的勢力の伸張がみられたこと,さらに1930年の大統領選挙の際,きびしい経済危機のために地方有力者間の合意が崩れたことの二つを主要な原因として機能不全に陥ることになった。…

【ポルトガル】より

…1640年の本国独立を経済的に支援したのは,このブラジルであった。70年代以降砂糖生産は停滞するが,90年代に入ると,内陸部のミナス・ジェライスで金やダイヤモンドが発見された。18世紀全体を通じて産出した金の量は1000tにも達すると見積もられている。…

※「ミナスジェライス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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