ミネズオウ(読み)みねずおう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ミネズオウ」の意味・わかりやすい解説

ミネズオウ
みねずおう
[学] Loiseleuria procumbens (L.) Desv.

ツツジ科(APG分類:ツツジ科)の常緑低木。茎は地をはい、よく分枝して斜上し、高さ約10センチメートル。葉は対生して密につき、線状長楕円(ちょうだえん)形で長さ約1センチメートル、質は厚く、縁(へり)は外側に巻き、裏面に細かい白毛を密生する。6~7月、枝先に淡紅色または白色花を2~6個上向きに開く。花冠は広鐘形で長さ5ミリメートル、先端は5裂する。雄しべは5本で葯(やく)は紫色。果実は卵形の小さな蒴果(さくか)で直立する。1属1種で、高山帯の風衝草原にマット状に広がって生え、中部地方以北の本州北海道、および千島樺太(からふと)(サハリン)、東シベリア、北アメリカ、ヨーロッパなど、北半球の北部に広く分布する。名は、山の峰に生え、葉がイチイの一方言であるスオウ(マメ科のスオウとは別種)に似ることによる。

小林義雄 2021年5月21日]


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改訂新版 世界大百科事典 「ミネズオウ」の意味・わかりやすい解説

ミネズオウ
Alpine azalea
Loiseleuria procumbens (L.) Desv.

高山の岩地に生えるツツジ科の常緑の矮小(わいしよう)低木。和名峰蘇芳で,蘇芳はイチイを指し,葉がイチイに似るのでいう。茎は地上をはい,よく分枝して葉をつけた枝が斜上し,高さ10~15cm。葉は革質で対生し,狭長楕円形で先は鈍く,長さ6~10mm,幅2~3mm,縁は裏面にまくれ,裏面には密に毛が生える。7~8月,枝先に2~5個の小さい漏斗形の花を散形につける。花冠は白色で5裂し,赤みを帯び,径4~5mm。おしべは5本,葯は縦に裂けて花粉を散らす。子房は赤褐色。蒴果(さくか)は卵形で長さ3~4mm。本州中部以北,北海道にみられ,北半球の寒帯に広く分布する。岩石園の植込みに利用される。1属1種の植物で,ツガザクラ属に縁があると考えられる。
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百科事典マイペディア 「ミネズオウ」の意味・わかりやすい解説

ミネズオウ

ツツジ科の常緑小低木。本州,北海道の高山にはえ北半球の寒帯に分布する。茎は分枝して地面をおおい,10〜15cmの小枝を立てる。葉は密に対生し線形で縁は下面にまく。7月,小枝の頂に数個の淡紅色の花をつける。花冠は鐘形で径4〜5mm,上向きに開く。

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