ミノガイ(読み)みのがい(英語表記)file shell

改訂新版 世界大百科事典 「ミノガイ」の意味・わかりやすい解説

ミノガイ (蓑貝)
file shell
Lima vulgaris

ミノガイ科の二枚貝。殻は白色扇形,長さ7.5cm,高さ9.5cm,膨らみ3.3cmに達する。堅固で,殻頂前後に小さい三角形のでっぱりがある。表面には20本内外の放射状の肋があり,その上には鱗片状の突起が並ぶ。内面は白色で,殻頂の下に黒い弾帯をのせた弾帯受けがある。軟体の外套(がいとう)膜の縁には帯紫白色の房がある。足は小さいが,足糸を出して岩に付着する。房総半島以南~熱帯太平洋に広く分布し,潮間帯より水深10mの岩れき底にすむ。プランクトンや浮遊有機物を食べる。夏に産卵するらしい。

 日本産のミノガイ科Limidaeは35種が知られる。モクハチミノガイL.zushiensis褐色で,27本内外の肋がある。またユキミノガイLimaria orientalisは小型で高さ1.5cmくらいで,白色薄質。軟体は赤色。外套縁には赤い房状の突起がある。足は小さく,足糸がなく,殻を強く開閉して泳ぐことができる。房総半島以南に分布する。オオハネガイAcesta goliathは大型で高さ17cmに達し,相模湾以北および日本海の水深100~200mに分布する。採取して食用にする。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ミノガイ」の意味・わかりやすい解説

ミノガイ
みのがい / 蓑貝
file shell
[学] Lima orientalis

軟体動物門二枚貝綱ミノガイ科の二枚貝。房総半島以南、熱帯太平洋およびインド洋沿岸に分布し、岩礁にすむ。殻長75ミリメートル、殻高95ミリメートル、殻幅33ミリメートルに達し、扇形で厚く、膨らみは弱い。殻色は内外ともに白色。殻頂は小三角形状にとがり、前後に小さい耳状突起がある。殻表には約30条の強い放射肋(ろく)があり、その上に鱗片(りんぺん)状の突起がある。前縁の足糸開口部から足糸を出して岩礁に付着する。近縁種のハネガイCtenoides lischkeiは放射肋が約80条あり、鱗片状突起がなく、殻高30ミリメートル、殻長20ミリメートルほどである。

[奥谷喬司]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ミノガイ」の意味・わかりやすい解説

ミノガイ
Lima vulgaris; file shell

軟体動物門二枚貝綱ミノガイ科。殻長 7.5cm,殻高 9.5cm,殻幅 3.3cmに達する。殻は白色,やや厚く,扇形で前腹方へ傾く。殻表には 30本内外の強い放射肋があり,その上に鱗状突起を生じる。殻頂は小さく,前後に三角形状の小さい耳状突起がある。外套縁の触手は紫褐色。房総半島以南,西太平洋,インド洋に広く分布し,潮間帯より水深 10mの岩礁に足糸を出して付着する。

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