ミヤママタタビ(読み)みやままたたび

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ミヤママタタビ」の意味・わかりやすい解説

ミヤママタタビ
みやままたたび
[学] Actinidia kolomikta (Rupr.) Maxim.

マタタビ科(APG分類:マタタビ科)の落葉藤本(とうほん)(つる植物)。マタタビに似るが、ミヤママタタビは茎の髄に階段状の空所があり、葉は卵形で基部が心臓形となり、若い枝先の葉が紅白色となることなどで異なる。雌雄異株両性花もあり、5~6月、径約1.5センチメートルの白色花を開く。果実は長楕円(ちょうだえん)形の漿果(しょうか)で長さ約2センチメートル、先は細くなり、8~9月に黄緑色に熟し、食用となる。深山に生え、北海道と中部以北の本州、および朝鮮半島、樺太(からふと)(サハリン)に分布する。名は、深山に生えるマタタビの意味であるが、マタタビはネコが好むのに反し、本種はネコがとくに好むことはない。

[杉山明子 2021年4月16日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ミヤママタタビ」の意味・わかりやすい解説

ミヤママタタビ
Actinidia kolomikta

マタタビ科の落葉性つる植物で,アジア東部の冷温帯に生じる。本州中部以北と北海道の深山に生え,同属のマタタビよりも高いところに分布する。雌雄異株で,よく枝を分ち,若枝には細毛があって中心の髄にはすきまが多い。葉には長い柄があり,長さ7~12cmの卵円形で先端が鋭くとがる。基部は心臓形で,縁に鋸歯があり,夏には葉の表面が淡紅色を帯びる特徴がある。夏,雄花集散花序をなして咲き,ウメの花に似た白色5弁花で多数のおしべがある。雌花は単生し,柱頭が多数に裂ける。果実は長さ 2cm弱の長楕円形の液果で,表面はなめらかである。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のミヤママタタビの言及

【マタタビ】より

…ネコ科の動物はこの植物をひじょうに好み,これをかじって酔ったようになる。本種に近いミヤママタタビA.kolomixta Maxim.はマタタビに似ているが,葉の基部は心形で,小枝の髄は階段状(マタタビにはそのようなすきまはない)となるので区別できる。マタタビより北方に分布し,日本(北海道~四国),朝鮮,中国,シベリアに見られる。…

※「ミヤママタタビ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android