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スウェーデンの経済学者。1974年ノーベル経済学賞を受賞。大学教授のほかに,弁護士,政府の顧問・委員,国会議員,大臣など多彩な経歴の持主で,第2次大戦後,国連ヨーロッパ経済委員会の委員長として10年間ジュネーブに在勤し,ヨーロッパ再建に尽力した。学者としての研究領域も広く,マクロ経済学,経済学方法論・学説史,アメリカ黒人問題,国際経済学などにわたる。主著《アジアのドラマAsian Drama》(1968)は,1957年末から61年初めにかけて,当時インド駐在スウェーデン大使であった夫人のアルバ・ミュルダールとともに南アジアに滞在中,実施した調査研究にもとづく。圧倒的多数を占める表面的な議論を排し,発展途上国開発のむずかしさを,人間の〈態度〉と社会の〈制度〉の側面から率直に指摘した。
執筆者:飯田 経夫
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…実際,価値の概念はスコラ哲学や功利主義哲学における自然法的な思想を背景にして発展してきたのである。経済的価値の概念もまた,G.ミュルダールが《経済学説の発展における政治的要素》(1953)において綿密に検討したように,自然法の影響のもとに彫琢されてきたものである。しかし自然法的な思想は,事実判断と価値判断とを混同させているという意味で,後者から自由であろうとする科学にとって,障害になりやすい。…
…その数量分析が制度主義的とみなされるのは,ミッチェルにおいても,産業industryと営利企業business,あるいは財生産making goodsと金もうけmaking moneyの区別というベブレン流の制度理解があったからである。 これら3者にJ.M.クラークやG.C.ミーンズらを加えて旧制度学派とよび,《豊かな社会》のJ.K.ガルブレースや《アジアのドラマ》のK.G.ミュルダールらのように,より包括的かつ現代的な問題意識をもった経済学者たちを新制度学派とよぶのが普通である。つまり後者にあっては,〈生活の質〉とか南北問題といったような新たな論点に関心がそそがれている。…
…しかし,社会諸科学はそれぞれ独立したものとして論じられる傾向にあるため,社会的事実の一側面つまり物質的・技術的側面に関する部分的な研究として経済学を位置づけ,それと他の諸側面に関する研究とを総体的に関連づけるような試みは少なかった。このような個別諸科学の孤立性を反省して諸学の協同をはかろうとするのはK.E.ボールディングのシステム論,J.K.ガルブレースやK.G.ミュルダールの文明論などであるが,とくにT.パーソンズは,A.マーシャル,J.シュンペーターおよびJ.M.ケインズの経済学に含まれていた社会的要素を独自の社会学的分析装置によって明示化することを通じ,経済と社会の関係を理論的に究明しようとした。しかし今までのソシオ・エコノミックスは,社会諸科学の既存の成果を基本的に是認したうえでの協同研究という意味で,学際的interdisciplinary接近に属するが,それら既存の成果はさまざまのイデオロギーを伴っていることが少なくない。…
※「ミュルダール」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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