メガントロプス

百科事典マイペディア 「メガントロプス」の意味・わかりやすい解説

メガントロプス

1941年オランダの古生物学者ケーニヒスワルトがジャワのソロ川上流のサンギラン地方で発見した化石人骨。メガントロプス・パレオジャバニクスと命名下顎骨と歯が巨大なためこの名がある。また,1978年同じサンギランで,インドネシア人類学者テクウ・ヤコブによって,メガントロプスと推定される歯と顔面のついた頭骨が発見された。ピテカントロプスともアウストラロピテクスとも異なる特徴をもつといわれる。この化石はサンギランでも古いプチャンガン層から出土していることから,約100万年前の原人と考えられている。サンギランの遺跡は1996年世界文化遺産に登録された。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「メガントロプス」の意味・わかりやすい解説

メガントロプス
めがんとろぷす
Meganthropus

ジャワ島中部のサンギラン出土の化石人類。学名のメガントロプス・パラエオジャワニクスM. palaeojavanicusは、古いジャワの巨人の意。1941年にオランダの人類学者ケーニヒスワルトが、53年にはインドネシアのマルクスが下部更新世(洪積世)地層より発見。左右の下顎(かがく)骨破片はゴリラ並みの大きさであるが、小臼歯(きゅうし)や大臼歯は人類的である。一時期ドイツの人類学者ワイデンライヒが本標本ギガントピテクスをもとに人類祖先巨人説を唱え、また南アフリカロビンソンは本標本をアウストラロピテクス類と結び付けたが、今日ではいずれも立ち消えている。大型の原人とみるのがよいようであるが、標本が不十分なため、将来の研究がまたれる。なお、1939年タンザニアのガルーシ出土の標本はメガントロプス・アフリカヌスとよばれたが、今日ではアウストラロピテクス・アフリカヌスだとされている。

[香原志勢]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「メガントロプス」の意味・わかりやすい解説

メガントロプス
Meganthropus

1941年ジャワ島中部にあるサンギラン遺跡のジェティス層から発見された化石人類。メガントロプス・パレオジャバニクス M. palaeojavanicusと名づけられた。人骨は小臼歯と大臼歯部の下顎骨片であり,名称のとおり巨大で現生ゴリラの大きさに匹敵する。下顎底部は厚く,頑強であるが,類人猿にみられる下顎内面の隆起 (さるの棚) はない。歯は特に大きく,歯冠表面積は現生人類の2倍もあるが,形態はヒト的である。年代は更新世前期 (約 100万年前) と推定されている。この人類の系統的位置づけはまだ確定しておらず,アウストラロピテクスの一種との説は現在は支持されていない。

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