メシマコブ

食の医学館 「メシマコブ」の解説

メシマコブ

〈韓国政府認定の抗がん剤〉
 メシマコブは長崎県男女群島の女島で発見されたキノコで、コブ状の形態をしていることからこう名付けられました。
 クワの古株に寄生して育ち、成長するにしたがって扇状になりますが、かさの直径が30cmになるまでに20~30年はかかるという稀少キノコです。
 1960年代後半にはメシマコブに高い腫瘍(しゅよう)抑制効果があることが判明しましたが、栽培培養が困難で、長いあいだ「幻のキノコ」と呼ばれていました。
 その後、韓国で菌糸体培養技術が完成し、研究のうえ効果も立証され、韓国政府から抗がん剤に認定されています。
〈腫瘍抑制効果が強く副作用もない〉
○栄養成分としての働き
 メシマコブの腫瘍抑制効果は非常に強く、抗がん作用のあるといわれるキノコ類のなかでも群を抜いています。
 がんの増殖を抑える効果は、医薬品の抗がん剤と同等近くあるうえ、副作用の心配がありません。
 抗がん剤と併用すると高い効果を現し、抗がん剤による副作用も軽減させることが報告されています。
 実際の医療現場で有効活用できるわけです。
 経口投与でも効果がほとんど落ちませんし、摂取量を10分の1に減らしても抗腫瘍活性は半減しない、つまり微量でも十分有効なことも特徴です。
〈がん細胞を自殺させ予防作用も期待〉
 メシマコブは免疫力を増強し、マクロファージやT細胞、NK細胞などを活性化させて、がん細胞自殺に追いやることが判明しています。
 これにより、がんの予防にも期待ができます。
〈キノコの種類別抗がん作用〉
以下に、キノコ(和名)、腫瘍阻止率(%)を示します。
コフキサルノコシカケ 64.9%
カワラタケ 77.5%
・アテゲカワラタケ 65.0%
・チャカイガラタケ 70.2%
・ベッコウタケ 44.2%
・オオシロタケ 44.8%
・メシマコブ 96.7%
(1968年 国立がんセンター調査より)

出典 小学館食の医学館について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「メシマコブ」の意味・わかりやすい解説

メシマコブ
めしまこぶ / 女島瘤
[学] Phellinus linteus (Berk. et Curt.) Aosh.

担子菌類、サルノコシカケ目タバコウロコタケ科の木質、多年生のキノコ。漢方で「猿の腰掛」として薬用にされるのは本菌である。傘は径5~15センチメートル、厚さ2~3センチメートルの半円形で、扁平(へんぺい)または丸山形。表面は暗褐色、周辺と裏面は黄色。上面には同心円状に並ぶ隆起帯と縦横に走る細かい亀裂(きれつ)がある。縦断すると肉は鮮黄色ないし黄褐色。管孔(くだあな)部は多層をなし、胞子は淡黄色で、径3~4マイクロメートルの類球形。子実層には褐色で厚膜の剛毛体がある。日本と北アメリカに分布する。

 メシマコブの名は、長崎県男女(だんじょ)群島の女島(めしま)産の猿の腰掛を意味する地方名からとられたものである。メシマコブは同島に多い天然生のクワに多数発生することから、女島は古くからメシマコブの主産地とされた。その後、伊豆七島の八丈島の自生クワにもこのキノコが多く発生することがわかり、江戸時代からは両島産のメシマコブが良品とされた。漢方では利尿、健胃、下痢止めなどに利用される。また、最近では、本菌に有望な抗腫瘍(しゅよう)性の物質が含まれているという研究報告も出されている。

 漢方で桑黄(そうおう)とよぶ薬物を、日本ではクワに生える黄色の猿の腰掛の意でとらえ、メシマコブをあてているが、中国の『中国薬用真菌』第2版(1978・劉波(りゅうは)著)では、キコブタケP. igniarius (Fr.) Qúel.としている(キコブタケには黄色みはない)。このように、日中で桑黄に対する解釈は違っているが、その薬効には差がないという。

[今関六也]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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