メーラー(英語表記)Norman Mailer

精選版 日本国語大辞典 「メーラー」の意味・読み・例文・類語

メーラー

(Norman Mailer ノーマン━) 米国の小説家太平洋戦争従軍体験をもとにした「裸者と死者」以降、米国文明社会の諸問題をさまざまな角度から描く。ほかに「鹿の園」「アメリカの夢」など。(一九二三‐

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デジタル大辞泉 「メーラー」の意味・読み・例文・類語

メーラー(Norman Mailer)

[1923~2007]米国の小説家。太平洋戦争従軍体験をもとにした「裸者と死者」以降、米国文明社会の諸問題をさまざまな角度から描く。ほかに「鹿の園」「アメリカの夢」など。

メーラー(mailer)

メールソフト」に同じ。

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改訂新版 世界大百科事典 「メーラー」の意味・わかりやすい解説

メーラー
Norman Mailer
生没年:1923-2007

アメリカの作家。ユダヤ移民を父として,ニュージャージー州ロング・ブランチに生まれ,ニューヨークのブルックリンに育ち,1943年,ハーバード大学卒業。翌年太平洋戦争に従軍,48年に屈指の戦争文学《裸者と死者》を世に問い,現代アメリカ小説の旗手としての地位を確立した。以後,《バーバリーの岸辺》(1951),《鹿の園》(1955),《アメリカの夢》(1965),《なぜぼくらはベトナムへ行くのか》(1967)を書いた。文学的結実,できばえとしては,これらの小説は処女作《裸者と死者》に及ばない。だが,それはメーラーの衰弱を意味するものではない。全能の話者という作家の特権をすてた者に見舞ってくる困難があるだけなのである。全能の話者とは神のように超然として,〈彼〉〈彼女〉といった人物を創造し,それを自在に操り,物語を仕組む。そこに客観的に明確な小説の構造も可能なわけだが,もとより作家も一人の人間にすぎない。過去の既成の意味・価値の秩序を失い,未来という希望の構図をも持ちえない不安な現代の人間にすぎない。そういう人間が全能の神のように語るのはうそではないか。彼にあるのは地図なき荒野を行く不安な実存の〈現在〉でしかない。〈彼〉〈彼女〉という第三人称で,すでに完結した事件として物語る,従来の小説形式はもはや不可能だ。現に,《バーバリーの岸辺》以来,メーラーは第一人称単数の話者に固執しつづける。そしてこの実存的〈現在〉の深淵に,人間の生命の可能性を,〈精神の西部〉のフロンティアを求めつづける。《なぜぼくらはベトナムへ行くのか》以後,メーラーの仕事は《夜の軍隊》(1968),《月にともる火》(1970),《性の囚人》(1971),《マリリン》(1973),《死刑執行人の唄》(1979)といったジャーナリズム伝記に集中している。しかし,彼は作家であることをやめたわけでは毛頭ない。実存的〈現実〉の探求の旅は変りなくつづけられた。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「メーラー」の意味・わかりやすい解説

メーラー
Mailer, Norman Kingsley

[生]1923.1.31. ニュージャージー,ロングブランチ
[没]2007.11.10. ニューヨーク,ニューヨーク
アメリカ合衆国の小説家,ジャーナリスト。ハーバード大学で航空工学を学び,1943年卒業。その後,太平洋戦争に従軍,この体験をもとにした『裸者と死者』 The Naked and the Dead (1948) で一躍注目を浴びた。続いて寓話風の政治小説『バーバリーの岸辺』 Barbary Shore (1951) ,ハリウッドの内幕を描いた『鹿の園』 The Deer Park (1955,劇化され 1967初演) ,長編エッセー『白い黒人』 The White Negro (1957) を発表。 1960年代には人種問題やベトナム戦争に関心を示し,小説『なぜぼくらはベトナムに行くのか』 Why Are We in Vietnam? (1967) ,ワシントン反戦デモ参加の記録『夜の軍隊』 The Armies of the Night (1968,ピュリッツァー賞,全米図書賞) を発表した。ほかに,小説『アメリカの夢』 An American Dream (1965) ,『死刑執行人の歌』 The Executioner's Song (1979,ピュリッツァー賞) ,『聖書物語』 The Gospel According to the son (1997) ,ノンフィクションの『なぜわれわれは戦争をしているのか』 Why Are We at War? (2003) など。

メーラー
Möhler, Johann Adam

[生]1796.5.6. バーデンビュルテンブルク,イーゲルスハイム
[没]1838.4.12. ミュンヘン
ドイツのローマ・カトリック神学者。テュービンゲン大学に学び,1828年同校教授。プロテスタント神学に対し,ローマ・カトリック教義の擁護論として,"Symbolik"を表わす (1832) 。この著作が物議をかもしたため,35年ミュンヘン大学に移った。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「メーラー」の意味・わかりやすい解説

メーラー
めーらー
mailer

電子メールの送受信を行うアプリケーション・ソフトウェアの総称。メールソフト、メールクライアント、メールアプリケーションなどともよばれる。メール作成のほかにアドレス帳や受信メールの振り分けや検索、アカウントの切り替えなど、多様な機能をもつものが多い。代表的なメーラーとして、マイクロソフトの「アウトルックエクスプレスOutlook Express」、「ウィンドウズライブメールWindows Live Mail」、モジラMozillaの「サンダーバードThunderbird」などがある。

 なお、Gmail(ジーメール)などのWebメールは、メールのやりとりにウェブブラウザを使うためメーラーは不要である。

[編集部]

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百科事典マイペディア 「メーラー」の意味・わかりやすい解説

メーラー

米国の作家。学生時代から小説を書く。太平洋戦争の体験に基づく《裸者と死者》(1948年),政治小説《バーバリーの岸辺》(1951年)を経て,《鹿の園》(1955年),《アメリカの夢》(1965年)などを発表。《性の囚人》(1971年)では女性解放運動と対立した。《月のかがり火》(1970年),《マリリン》(1973年)などのルポルタージュも多い。他に《死刑執行人の歌》(1979年),《エジプトの夜》(1983年),《オズワルドの物語》(1995年)など。
→関連項目ウォルシュ

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パソコンで困ったときに開く本 「メーラー」の解説

メーラー

メールソフトの別名です。「メールするための道具」といった意味合いです。電子メールを送受信する以外に、メールを書いたり読んだりする機能、メールアドレスを登録しておく機能なども備わっているのが普通です。

出典 (株)朝日新聞出版発行「パソコンで困ったときに開く本パソコンで困ったときに開く本について 情報

IT用語がわかる辞典 「メーラー」の解説

メーラー【mailer】

電子メールソフト。◇「メーラ」ともいう。⇒電子メールソフト

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ASCII.jpデジタル用語辞典 「メーラー」の解説

メーラー

電子メールソフト」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内のメーラーの言及

【アメリカ文学】より


[第2次世界大戦後]
 第2次大戦後の科学・技術の飛躍的進歩は社会にめまぐるしい変化をもたらし,人々の現実感もきわめてとらえ難いものとなり,伝統的なリアリズムの手法によってはすくい取ることができないような世界が現出する。その過渡期的作家として《裸者と死者》(1948)によって戦争の非人間的機構をあばいたメーラーや,《遠い声,遠い部屋》(1948)により現代にゴシック・ロマンス的雰囲気を再生させた感のあるカポーティがいる。やがてK.ボネガット,J.バース,D.バーセルミ,T.ピンチョンなど,いずれもリアリズムの枠を意識的に破った作家たちが登場する。…

【スカトロジー】より

…現代アメリカ文学におけるスカトロジックな傾向も見落とせない。例えばN.メーラーがそうである。アメリカ社会での人間疎外がブラック・ユーモアを生み出し,その一要素としてしばしば糞尿のイメージが用いられている。…

【裸者と死者】より

…1948年,アメリカの作家N.メーラー歳のときの処女作。彼自身が従軍したフィリピンの戦場をモデルとした架空の島における日本軍殲滅(せんめつ)の経緯が物語の軸だが,作者の意図は,戦争という極限状況のなかでむき出しにされる人間の生と死の姿を描き出すところにある。…

※「メーラー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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