メール便(読み)メールビン

デジタル大辞泉 「メール便」の意味・読み・例文・類語

メール‐びん【メール便】

民間運輸業者のサービスの一。カタログ雑誌など封筒に入る程度の厚さの印刷物を扱うもので、信書は送ることができない。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

知恵蔵 「メール便」の解説

メール便

書籍、雑誌、商品カタログなど、軽量・小型の荷物荷送人から引き受け、それらを荷受人の郵便受けなどに入れることによって運送行為を終了する運送サービス、もしくは貨物宅配便のような配達日時の指定はできず、荷受人への手渡しや判取りも行われないが、運賃は安価に設定されている。
ヤマト運輸が郵便事業の民営化を見込んで1997年に開始した「クロネコメール便」がその最初。同業他社が続いて類似のサービスを開始し、郵便事業会社も2007年の民営化により「冊子小包」から「ゆうメール」と名を変えて対抗サービスを行っている。いずれも郵便法に定める郵便物ではないため、信書の送達に用いることはできない。
宅配便は比較的大きな荷物も送ることができ、配達時刻の指定や荷物の補償などのきめ細かなサービスを特徴とするが、これに対して、メール便は荷物の大きさなどが制約され補償もなく扱いが簡易だが、運賃が格安なサービスである。「クロネコメール便」の例では運賃は80円から240円まで、プラス100円で速達サービスとなり離島を除き翌日、翌々日に届けられる。最大のサイズはB4、厚さ2cm、重量1kgまでとなっている。
04年の取扱は17億冊程度で宅配便よりも少なかったが、09年度には51億冊に達し、例年30億個程度の取扱個数であった宅配便をはるかにしのぐ規模になっている。
配送システムは宅配便や郵便事業の配送網に準ずるが、各社間の価格競争が激しく委託配達員などが終端の配送を担うこともある。オンラインなどで配送状況についてある程度は把握確認できるが、郵便受けに入れて終了という仕組みのため受け取り確認まではできない。取扱数の急増に伴い、長期にわたって多数のメール便を配達せず放置したり処分したりする事件が相次いで明らかになり、問題となった。

(金谷俊秀  ライター / 2010年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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