モダマ(英語表記)sea bean
liver bean
Entada phaseoloides (L.) Merr.

改訂新版 世界大百科事典 「モダマ」の意味・わかりやすい解説

モダマ
sea bean
liver bean
Entada phaseoloides (L.) Merr.

マメ科ネムノキ亜科に属し,マメ科の中でも際立って大きな果実をつける,大型の木性つる植物。果実は長さ120cm,幅12cmに達する。和名藻玉の意で,海岸に漂着する種子に基づいて名付けられたという。大型の木性つる植物。葉は常緑,偶数2回羽状複葉で互生する。羽片は2対ある。小葉は2~4対あり,ややゆがんだ長楕円形で長さ3~8cm,幅1.5~4cm,革質で光沢がある。夏に長さ12~25cmの細長い穂状花序を伸ばし,多数の黄緑色の小花をつける。花は蝶形花とならず,花弁は5枚で楕円形,長さ2~3mm。果実は木質,長さ30~120cm,種子と種子の間で割れる。種子はほぼ円形,扁平,直径4~5cm,あずき色で光沢がある。

 屋久島から沖縄の海岸近くの常緑樹林に生育し,世界の熱帯に広く分布する。種子は中空で,海上を漂流して分布を広げる。細工物,装飾品に利用。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「モダマ」の意味・わかりやすい解説

モダマ
もだま / 藻玉
[学] Entada phaseoloides Merr.

マメ科(APG分類:マメ科)の常緑藤本(とうほん)(つる植物)。葉は互生し、2回偶数羽状複葉で羽片は4枚。おのおのの羽片に小葉は2~4枚ずつ対生し、葉軸の先は巻きひげとなる。小葉は長楕円(ちょうだえん)形または倒卵形で、長さ3~8センチメートル、革質で光沢がある。初夏、枝先に細長い穂状花序を出し、帯黄緑色の小さな花を密生する。果実は木質で堅い大形の平たい莢(さや)で、長さ1メートルに達することがある。種子は平たく光沢がある。屋久(やく)島から沖縄の山麓(さんろく)の常緑林内に生え、熱帯に広く分布する。ときに種子が川に流され、海上を漂流して、他の海岸に運ばれる。浜辺に打ち上げられた種子に藻がついていることがあるので、この名がある。

[立石庸一 2019年11月20日]

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