モダン・バレエ(英語表記)modern ballet

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「モダン・バレエ」の意味・わかりやすい解説

モダン・バレエ
modern ballet

形式的なクラシック・バレエに対し,自由な発想によって行われるバレエをいう。劇的な展開や幻想性を排し,抽象的な動きによって構成される。ただし,古典技法を前提としており,その意味ではモダン・ダンスのようにクラシック・バレエと対立するものではない。 1909年パリで旗揚げしたバレエ・リュスの M.フォーキンらの成功によってその土台が築かれた。その後,同バレエ団出身の G.バランシン,S.リファールらがその流れを受継ぎ,バランシンはアメリカでバレエを発展させ,リファールはフランス・バレエの復興をなしとげた。そのほか,心理的バレエを確立したイギリスの A.チューダー,ミュージカル振付でも知られる J.ロビンズや,フランスの R.プチ,ベルギーなどで活躍する M.ベジャールらがモダン・バレエを発展させた代表的存在といえる。

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知恵蔵 「モダン・バレエ」の解説

モダン・バレエ

大雑把な呼称だが、19世紀のバレエを古典バレエと呼ぶのに対し、20世紀に新たに生まれたバレエを一般にモダン・バレエと呼ぶ。特に、抽象バレエでもドラマティック・バレエでもない、バレエ・リュスとモダン・ダンスの影響を受けた潮流を指すことが多い。その特徴は、愛・憎しみ・欲望・嫉妬・死など、人間の深層に潜むものを表現しようとするところである。代表的な振付家はモーリス・ベジャールとローラン・プティ。日本では従来モダン・ダンスがモダン・バレエと呼ばれることもあったため、いささか呼称が混乱している。ただし、ある種のジャンルのダンスを「ダンス」と呼ぶか「バレエ」と呼ぶかについては、厳密な境界線はない。一般的には、作品がどうであれ、クラシック・バレエの訓練法を基礎にしているものをバレエと呼ぶ。

(鈴木晶 舞踊評論家 / 2007年)

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