日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
モリス(James Samuel Morris Jr.)
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James Samuel Morris Jr.
(1964― )
アメリカのプロ野球選手(左投左打)。大リーグ(メジャー・リーグ)のタンパベイ・デビルレイズ(現タンパベイ・レイズ)で投手としてプレー。35歳でデビューした、元教師の新人ということで注目を集めた異色の大リーガーである。
1月19日、テキサス州ブラウンウッドで生まれる。レンジャー短大から1983年、第二次ドラフト1巡目指名を受けてミルウォーキー・ブリュワーズに入団。マイナーのルーキー級に配属され、3勝6敗の成績を残した。1984年はA級に昇格し、8勝をマークして期待されたが、85年は故障がちで振るわなかった。1986年は左肩を手術してシーズンを全休し、87年に再起を目ざしたが4試合の登板で解雇。1988年もふたたび手術を受けてリハビリに費やし、89年はシカゴ・ホワイトソックスのマイナーA級で再スタートを切ったが、この年も故障で2試合しか投げられず、同年限りで野球界から引退した。その後、高校の野球部で監督をしていたが、1999年に野球部の選手たちとの約束でデビルレイズの入団テストを受けることになって合格。左肩はみごとに回復していた。AA級、AAA級を経て、その年のうちに大リーグへ初昇格し、5試合に登板。2000年も救援としてワンポイントで起用され、16試合に登板した。シーズンオフに解雇され、一度はロサンゼルス・ドジャースと契約したが、引退した。2002年、自伝が映画化(邦題『オールド・ルーキー』)された。
2年間の通算成績は、登板試合21、投球回15、0勝0敗、防御率4.80、奪三振13、完投0、完封0。
[山下 健]
『ジム・モリス、ジョエル・エンゲル著、松本剛史訳『オールド・ルーキー 先生は大リーガーになった』(2001・文芸春秋)』