ヤシ(椰子)酒(読み)やしざけ

改訂新版 世界大百科事典 「ヤシ(椰子)酒」の意味・わかりやすい解説

ヤシ(椰子)酒 (やしざけ)

ヤシの若い花序(花をつける芽)の柄の切口から出る樹液を発酵させた酒。アルコール分は4%(容量百分比)前後である。乾季の少ないアフリカの熱帯雨林地帯に生えるアブラヤシの酒エーム,スリランカマレーシアなどのココヤシの酒トディなどがある。原始の酒としてその歴史は古く,元代に編纂された《宋史》に麴蘖(きくげつ)を用いない酒として花酒,蜜酒とともに椰子酒,檳榔(びんろう)酒の名があげられている。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のヤシ(椰子)酒の言及

【ココ椰子】より

…花房を切り,切口からしみ出る甘い樹液は飲用とされる。またそれを発酵させたものはヤシ酒や酢となる。ヤシ酒はとくにミクロネシアで重要な嗜好品である。…

【嗜好品】より

… 未開社会では〈酔い〉は何か神聖なものと考えられ,超自然的な存在に結びつく仲介物とみなされている。アフリカとインドにおけるヒエ酒やヤシ酒,地中海諸国のブドウ酒,東アジア諸民族の米酒はアルコール性飲料の代表的なものであるが,中央アジアのトルコ系,モンゴル系の諸民族は,古代のスキタイ族やサルマート族のように,ウマの乳を発酵させたクミズを飲む。南アメリカでは酒類をつくるとき,発酵をうながすため原料をあらかじめ嚙んで,つぼの中にはき,それに水をそそいで酒をつくる風習があり,トウモロコシやマンディオカ(キャッサバ)からこのようにして酒をつくる。…

※「ヤシ(椰子)酒」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android