ヤッコソウ(奴草)(読み)ヤッコソウ(英語表記)Mitrastemon yamamotoi

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヤッコソウ(奴草)」の意味・わかりやすい解説

ヤッコソウ(奴草)
ヤッコソウ
Mitrastemon yamamotoi

ラフレシア科の一年生の寄生植物。ヤッコソウ科に分類されることもある。日本特産で,四国,九州など暖帯南部のシイノキの根に群れをなして生えるが,稀産である。葉緑素を欠き活物寄生をする。高さ5~7cm。宿主の根の中へ菌糸に似た栄養摂取器官を伸ばす。つぼみは宿主の組織中に生じ,宿主体を破って伸び出す。肥厚した花茎は直立し,鱗片葉が十字対生につく。鱗片葉は上部へいくにつれ徐々に大きくなる。秋,直立した茎頂に花を単生する。花被は筒形に合着し,花後も宿存する。おしべも帽子のように合着して子房を包み,これがはずれると下からめしべが現れ,花被より長くなる。子房は1室で側膜胎座に多数の胚珠をつける。果実は液果状で,網紋のある小型の種子が多数できる。花には蜜があり小鳥が吸いに来る。いわゆる鳥媒花である。鹿児島県日置市のヤッコソウ発生地は国の天然記念物として保護されている。ラフレシア科は世界に約 12属 60種が知られ,主として熱帯に分布し,マレー半島に産する。なかでもラフレシアは有名。

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